先々月の5月下旬、東京湾にて7月リリース予定の雑誌「LIKTEN」3号の表紙撮影を行った。
今回の撮影のイメージは、大友克洋の漫画「AKIRA」。新型爆弾の爆発による壊滅的被害から再建が進んだネオ東京を舞台に、不良少年たちが自らの未来を切り拓いていくというストーリーに、現代に通じるものを感じたことがこの発想につながった。
鉄人28号をオマージュしたAKIRAのストーリー
壊滅状態にあるとも言えるこの国の中で、新しい未来を切り拓こうとする若者を、「AKIRA」へのオマージュという形で表現したかった。
この「AKIRA」の複雑なストーリーが、横山光輝の漫画「鉄人28号」へのオマージュ作品であったことをご存じだろうか。
違和感を感じるかもしれないが、アキラの別名が「28号」であることや、両作品の主人公の名前が「金田正太郎」ということからもそれは明らかだ。
漫画「鉄人28号」は、太平洋戦争末期、大日本帝国陸軍が秘密兵器として開発していた鉄人を、少年探偵「金田正太郎」がリモコンで操りながら犯罪者や怪ロボットを倒していく物語だ。
特にリモコンがこの漫画の大きな特徴で、テレビアニメ版の主題歌にはこんな一節がある。「ある時は正義の味方、ある時は悪魔の手先、良いも悪いもリモコン次第」。鉄人は、リモコンによる操作によって動作するために、操縦者の意志でその行動が変わってしまうのだ。
これはまるで、力を持っているにもかかわらず、国民の信任がなければ動けない政治家のようではないか。
最近、菅直人首相の退陣を求める声が多い。超党派で課題に取り組むべきときに、権力争いをするな! という声もよく聞かれる。しかしながら、私はこのような有権者の声に強く疑問を感じる。
なぜなら、彼らは政治家の過ちを糾弾するばかりで、自分たちの過ちについては全く反省の様子をみせていないからだ。