日本経団連と日本労働組合総連合会(連合)の首脳懇談会が2010年1月26日に東京・大手町で開かれ、鳩山政権が誕生して初めての春闘が、事実上スタートした。
日本経済が再びデフレに陥る中、連合執行部は早々にベースアップ(ベア)の統一要求を諦め、雇用維持と定期昇給(定昇)維持に全力を傾ける。傘下の労組組合員からは「ベアを勝ち取れないなら、いったい、何のために民主党を支持してきたのか」と失望の声が上がっている。(文中敬称略)
組織内候補が閣僚に名を連ねるが・・・
連合は2009年春闘で8年ぶりにベアを要求した。ところが、リーマン・ショックで痛手を負った電機・自動車などの主要企業が軒並み「ゼロ回答」で惨敗。この反省から、2010年春闘では現実路線を選択したわけだが、企業業績には一部に明るい兆しも出ており、連合執行部内にも「今年ベアを取らないでいつ取るんだ」との不満がくすぶる。
選挙で民主党に票を入れるよう組合員をオルグし、パーティー券を大量に購入するなど最大のタニマチでもある連合にとって、2009年の鳩山連立政権誕生は春闘の追い風になるはずだった。しかし、雇用不安を抱える鳩山政権は連合にベア要求を断念するよう要請。連合は賃金改善分の500円と賃金カーブ維持相当分4500円と合わせた5000円の確保のみを傘下労組に指示した。
民主党を支持してきた連合にとって、鳩山連立政権誕生は、1989年11月の結成以来、20年目の悲願達成と言ってもいい。
政権発足間もない2009年10月8日、東京・丸の内の国際フォーラムで開かれた連合の第11回定期大会で挨拶した鳩山由紀夫は「与党となり(連合との)協定を着実にこなす政権にならないといけないという思い。来年夏の参院選でさらなる勝利をつかむためお力を拝借したい」と頭を下げた。
さらに、鳩山と連合会長の古賀伸明は12月2日、官邸で会談し雇用や労働政策で意思疎通を図っていくことを確認。自民党時代とは異なる、与党と労働界の蜜月ぶりを見せつけた。