13日のNY市場は、序盤にリスク回避色が広がったものの次第に持ち直す動きとなった。取引序盤はNY株式市場が軟調に始まった。ダウ平均は一時130ドル安、金融株主導の下げとなった。JPモルガンの決算で投資銀行収入の減少で減益となったことが嫌気された。また、東京タイムに発表された中国貿易収支が市場予想に黒字幅が届かなかったことや、ロンドンタイムのECB月報で、ユーロ圏の国債について民間債権者に損失負担を強制すればユーロの信認低下につながる恐れがある、と警告したことも悪材料となった。ユーロドルは一時1.37割れ、ユーロ円は105円台前半での推移と売りが先行。ドル円も輸出やCTA勢の売りで76円台に押し戻されており、上値の重いスタートだった。

しかし、この日はスロバキア議会がにEFSF拡充案を承認したと報じられると、リスク回避色は一服する。バローゾ欧州委員長とファンロンパイ欧州大統領は、スロバキアの承認でEFSFは完璧に実行可能、EFSFはより一層強く、柔軟な手段となる、と歓迎を意を表明した。NY株式市場は下げ幅を縮小、ナスダック指数は上げへと転じる。ユーロ相場もショートカバーを伴いながら持ち直している。ユーロドルは1.38手前、ユーロ円は一時106円台乗せまで反発した。また、米30年債入札はFOMCでのオペレーションツイスト実施の発表後の初の実施となり注目された。応札倍率は2.94倍と前回2.85倍を上回り、落札利回りは3.12%と過去最低となった。流通市場でも米債利回りが低下し、ドル安を後押ししたようだ。英ロイズ、RBSやスイスUBSなどが格下げされているが目立った反応はみられなかった。ポンドや豪ドル相場もユーロと同様に序盤の下げを戻す動きだった。一方、ドル円は76.80-90レベルでのこう着相場が続き、ロンドンでの下げを取り戻せなかった。

◆コチャラコタ総裁、FOMCの直近2回の決定は信頼を低下させた
コチャラコタ・ミネアポリス連銀総裁は講演で、FOMCの直近2回の決定は信頼を低下させた、と警告した。景気は回復しつつありFRBは刺激策の解除が必要、景気回復時の金融緩和はFRBの信頼を低下させる、FOMCの決定は今年の経済情報の動向に一致していない、インフレ上昇、失業率低下となれば緩和水準を引き下げるべき、FOMCでは目標を明確かつ信頼できるように伝達すべき、などと述べた。同総裁はFOMCでの投票権を有しており、8月から2回連続して、2013年半ばまで、や、オペレーションツイスト、に反対していた。先日のFOMC議事録で示されたように、各メンバー間には決定に対する意見の隔たりが大きいようだ。

(Klugシニアアナリスト 松木秀明)