7日のNY市場、この日発表になった米雇用統計が予想を上回ったことで序盤はリスク選好の雰囲気が強まった。ユーロも買いが強まり、円相場も円安の動きが強まっている。しかし、中盤になってフィッチレーティングスがイタリアとスペインを格下げを発表したことから、市場の雰囲気は一気に悪化し、急速に押し戻された。結局、ユーロも資源国通貨も米雇用統計分の上げを失っている。
ユーロドルは1.3520付近まで上昇後、1.33台後半まで急速に下落した。ユーロ円、豪ドル円も同様の動きとなった。ドル円も上下動があったものの、基本的なレベル感に変化はない。
◆雇用統計 特殊要因も寄与
米雇用統計については、非農業部門雇用者数(NFP)が10.3万人増となり、前回、前々回分も上方修正されている。民間雇用は13.7万人増でベンチマークとされている10万人を上回った。しかし、大手通信会社ベライゾンが8月に実施したストライキの反動という特殊要因が出た部分も大きく楽観視する向きは少ない。ベライゾンの労働者は8月前半にストライキを実施。その後、8月後半には職場復帰しているが、雇用統計は毎月12日を含む週に調査されるこから、8月分の雇用統計調査時点では未就の状況で、9月分の雇用に追加されるだろうとの見方はあった。
また、政府雇用も地方政府の財政難から減少が続いている。これについてはオバマ大統領が発表した雇用創出策の中の教職員のレイオフ阻止、警察官や消防士の採用及び雇用維持に期待したいところであり、逆に、この法案が議会を通過できるまでは政府雇用の回復は難しいともいえる。
製造業も予想外のマイナスに落ち込んだ。輸出企業が多いが、欧州問題など世界動向に慎重になっているのかもしれない。自動車関連が思ったほど伸びなかったことも、今回の結果に繋がった印象もある。ここは次回に期待か。
あと、アキレス腱となっている建設が増加していたことはポジティブ。しかし、継続性には疑問といったところ。ここも雇用創出策の動向次第か。
(Klugシニアアナリスト 野沢卓美)