4日のNY市場はユーロの買戻しが強まった。バーナンキFRB議長が議会証言で、物価を安定させ、力強い回復促すために、適切なら一段の行動用意はあると述べたことや、量的緩和第3弾(QE3)の可能性は排除しないなどと述べたことを機にユーロは買い戻しが強まった。
戻り売りから伸び悩む場面も見られたが、終盤になって英FT紙がEUが欧州銀資本増強の新たな方法を模索しているとの報も買い戻しを強めた。
しかし、きょうのバーナンキ証言に特段の目新しさは無く、これまでのスタンスを踏襲する内容であったようにと思われる。ユーロ自体にも特にポジティブな材料があったようにも思われない。むしろ、ギリシャ支援の民間負担部分の増額や、EFSFの規模拡大についての協議が進まないなど、ネガティブは面も多い中、欧州債市場ではドイツ国債が買われ、欧州株式市場は3日続落している状況。きょうのユーロ買い戻しは、直近の急ピッチな下げで、過熱感も出ており、テクニカル的なショートカバーが入ったというのが実際のところのように思われる。
序盤はユーロの独歩高の様相も見られ、資源国通貨やポンドはむしろ軟調な動きも見られていたが、終盤の欧州銀の報道に買戻しが強まっている。
ユーロドルは1.33台後半まで一時上昇。ロンドン時間の安値から200ポイント超急伸している。ユーロ円も一時102.80近辺まで上昇したことで、ドル円も堅調な展開となったが、77円には届かなかった。
NY市場概況 スイス中銀は噂に言及せず
ユーロは対スイスでも上昇しており、ユーロスイスは1.2270近辺まで一時上昇している。市場の一部ではスイス中銀はスイスフランの対ユーロでの上限を、ユーロスイスで、現状の1.20から1.30に設定変更しようとしているのではといった噂が出ていた。これに対してスイス中銀はコメントを控えている。
(Klugシニアアナリスト 野沢卓美)