IT業界の古くからの友人が「そちらの会社の近くまで行く用事があるので、お昼でもどう?」と連絡をくれた。会うのは久しぶりである。何やら面白い製品情報もあるという。

 システム開発会社が表参道という家賃の高い場所にオフィスを構えるのは珍しい、とよく言われる。だが、表参道にいるおかげだと思うが、当社には来客が多い。誰かと会う時に先方を訪ねていくよりも、来てもらった方が、はるかに効率がいいのは言うまでもない。

 近くのビルの屋上テラスに行き、食事をすることにした。せっかくなので、当社の技術部の上層部も同席した。思い出話が一通り盛り上がった頃、その友人が「ところで・・・」と切り出してきた。

 何の製品情報だろうか? わくわくして身を乗り出した。不思議なことに彼が「面白い」という製品情報は、スタンダードになるとまでいかないが、たいていその一歩手前ぐらいまではブレークするからである。

音声入力で作業の正確性と効率が大幅に向上

 さて、彼が持ってきた面白い製品情報とは、「物流管理を音声認識技術で処理する」というものであった。最初は「何だ、そんなものか」と思ったが、よくよく話を聞いてみると、物流現場では非常に有効らしいことが分かってきた。

 まず、ピッキングエラー率がほぼ「ゼロ」になったという。導入したのは、無店舗型デジタルコンテンツ配信、DVD販売、DVDレンタルなどで有名な会社だ。

 具体的な効果は以下のようなものだったという。

(1)出庫作業の正確性が向上し、ピッキングエラーがほぼ「ゼロ」になった。
(2)在庫入力スピードが平均で26%向上した。
(3)物流業務のトレーニング期間と費用が大幅に削減された。
(4)業務の「リアルタイム見える化」を実現できた。