3日のNY市場はリスク回避の動きが強まり、ユーロは売られ、円相場も円高の動きが強まった。この日発表になった米経済指標は予想を上回る内容だったものの、欧州債務問題への懸念がそれを上回った。:
本日はユーロ圏財務相会合が開催されていたが、特に決定もなされず、市場が注目している欧州金融安定ファシリティー(EFSF)の規模拡大に関しても意見が分かれており、市場の失望感を誘っている。
ショイブレ独財務相も、EFSFに対するレバレッジ計画は各国が機能拡充案を批准するまでは議論できないし、規模拡大についての市場の思惑は理解し難いと述べるなど否定的な見解を改めて示している。
ユーロドルは一本調子の下げを見せ、ユーロ円はユーロ安・円高の二重の逆風に100円台まで下落。10年ぶりの安値を更新している。一方、ドル円はクロス円の下げに圧迫されていたものの、76円台半ばの水準は維持。
◆対中為替法案に若干注意も
米上院が対中為替法案を週内にも可決させそうな気配であり、それに対して、オバマ大統領は否決権を行使するか態度を保留している。この法案が成立となれば、為替の過小評価を、中国による貿易助成金の支給に相当すると認定され、米企業は中国からの輸入品に相殺関税をかけるよう要請することが可能になる。中国側も何らかの報復措置をとる可能性もあり、米中貿易摩擦の悪化も心配される。
否決するとは思われるが、中国の景気に対するプレッシャーになる可能性もあり、現状の経済状況から予断は許さない状況。若干注意を払いたいところではある。
(Klugシニアアナリスト 野沢卓美)