<赤ちゃんポスト利用51件>(毎日新聞)

<「戸籍に入れたくない」「不倫」で、赤ちゃんポストに?>(読売新聞)

 さる11月27日、「赤ちゃんポスト」について報じる見出しが新聞各紙に載り、テレビのニュース番組やワイドショーでも大きく取り上げられた。

 これは前日の26日に、熊本市の慈恵病院が設けた「赤ちゃんポスト」(こうのとりのゆりかご)の長期的課題を検討してきた熊本県の検証会議(座長=柏女霊峰・淑徳大教授)が、最終報告書を熊本県知事に提出したことによるものである。

 報告書によれば、「赤ちゃんポスト」が設置された2007年5月から今年9月末までの2年5カ月で、預けられた子供は51人。置き手紙や、その後にあった電話連絡などで39人の親が判明し、うち37人が回答した。

 「赤ちゃんポスト」を利用した理由として1番多かったのは、「戸籍に入れたくない」(8人)。以下、「生活の困窮」(7人)、「不倫だから」(5人)、「世間体が悪い」「未婚なので」(各3人)と続いた。子供の障害を理由にしたケースも複数あった。

 預けに来たのは母親が最も多かったが、1人での来院は13件にとどまった。母親の年齢は20代の21人を最高に、10代から40代までと幅が広い。福祉・教育関係者が複数いたが、人数は明らかにされていない。

 預けられた子供は新生児43人、乳児6人、幼児2人だった。出産場所は医療機関を除き、自宅が14人、車中も1人いた。

 母親の居住地は熊本県はゼロで、他の九州各県から13人。関東11人、中部6件と全国に広がっている。

 51人の子供のうち、家庭に戻ったのは7人。30人は施設などで育てられ、1人は特別養子縁組が成立した。

 以上の事実を踏まえて、検証会議の最終報告書は次のように結論している。

 <「赤ちゃんポスト」は、「遺棄されて命を落とす新生児を救う」ことを優先し、匿名というシステムを採用してきた。利用者が相談しやすいという利点はあるが、一部で無責任な育児放棄にもつながっている。