経済二流の政権、政策準備なき突然の「デフレ宣言」
2009年8月の衆院選挙で、日本の閉塞感を打開すべく国民は民主党に託した。しかし鳩山連立政権は寄せ集めの印象を否めず、「脱自民」の発揮だけが政治目標に見える。
目指す政治が「大きな政府」なのか、それとも「小さな政府」なのか。それさえもはっきりしない。公共事業の見直しでは「小さな政府」志向に見えるが、内需主導の景気対策を標榜しているから「大きな政府」路線とも言えよう。
菅直人副総理の「デフレ」宣言が金融市場で独り歩きしたため、2008年12月のように日銀が金融緩和を追加するのではないかという思惑を呼んだ。
白川日銀総裁、「出口」から再び「入口」に〔AFPBB News〕
これに先立ち、日銀は10月30日の金融政策決定会合で社債買い取りなど金融危機対策の縮小を決め、非伝統的金融政策からの「出口」を模索していた。
ところが、日銀は突然針路を変えた。12月1日に「緊急」決定会合を開き、再び「入口」に戻ってしまった姿は市場関係者の目に異様に映った。政府と中央銀行の間で景気に対する意思疎通がうまく行われておらず、両者に一体感がない。
「デフレ」宣言を行う国に対し、リスクマネーを振り向ける投資家が多数存在するとは思えない。後先考えないこの種の発言は、かえって政権の経済に対する希薄な危機感を浮き彫りにした。現実の日本経済は需要不足に陥っており、それを喚起する政策も準備しないまま行った「デフレ」宣言にいかなる意味があったのか。