2日の米国市場では、予想外に強い経済指標が並んだ。

 米10月のISM製造業景況指数で、「総合(PMI)」は55.7(前月比+3.1ポイント)。市場予想を上回る幅での2カ月ぶりの上昇で、3カ月連続で好不況の分岐点である50を上回り、2006年4月以来の高水準になった。うち「生産」は63.3(前月比+7.6ポイント)、「雇用」は53.1(前月比+6.9ポイント)。

 米9月の中古住宅販売保留指数は、市場予想を大きく上回る110.1(前月比+6.1%)で、過去最長を更新する8カ月連続の上昇となった。

 米9月の建設支出は、前月比+0.8%。住宅建設を主因に、2008年9月以来の増加幅となった。

 それにもかかわらず、ニューヨークダウ工業株30種平均の前週末比上昇幅は+76.71ドルにとどまった。10月30日に▲249.85ドルという急落を演じた後の、反発力の弱さが浮き彫りになったと言える。

 買いが先行したこの日のニューヨークダウは、午後には前週末比マイナス圏に沈む場面があった。原因になったのは、金融システムに対する不安感である。

 米連邦準備理事会(FRB)銀行監督規制局のグリーンリー副局長は2日の議会証言で、「金融システムの状況は堅固なものからは程遠い」とした上で、米国の金融機関は商業用不動産ローンを中心とするかなりの追加損失発生リスクにさらされており、「ローンの質の悪さ、通常より弱い収益、将来の状況をめぐる不確実性は、一部の金融機関の自己資本比率に疑問を生じさせる」と述べた。これが、株式の売り材料になった。

 また、強い数字になったとはいえ、この日発表された3つの経済指標は結局のところ、自動車買い替え促進策や住宅減税といった政策効果で持ち上げられた数字であり、今後息切れすることが避けられない。米9月の建設支出については、前回8月分が当初発表の前月比+0.8%から同▲0.1%へと大幅下方修正されたことも見逃せない。