10月30日に発表された9月の全国消費者物価指数は、「生鮮食品を除く総合」(コア)が前年同月比▲2.3%となり、前月からマイナス幅を0.1%ポイント縮小した(図表1)。7カ月連続のマイナスだが、昨年夏にかけての原油バブル要因が前年同月比ベースでテクニカルに剥落してきており、「エネルギー」のマイナス寄与度が縮小したことが主因である(図表2)。

 筆者は今回9月分のコア前年同月比について、前月と同じ▲2.4%と予想していたが、実際の数字は異なった。最大の理由は、筆者がマイナス寄与度の増大を見込んでいた「生鮮食品を除く食料」が前年同月比▲0.5%で、前月と同じ数字にとどまり、コア前年同月比へのマイナス寄与度を拡大しなかったことである。しかし、先行する10月の東京都区部消費者物価指数を見ると、「生鮮食品を除く食料」は前年同月比▲1.8%で、9月の同▲1.3%からマイナス幅を拡大していた。輸入小麦の価格引き下げという要因も、11月以降に押し下げ方向で寄与してくる。したがって、当面のCPIコア前年同月比については、「エネルギー」のマイナス寄与度がテクニカルに縮小する動きを、「生鮮食品を除く食料」のマイナス寄与度が拡大することで打ち消すという、「綱引き」的な構図が予想される。