「池の中に放したクジラをわずか2年でプールに戻すことになったんじゃ・・・」

西川郵政社長が辞任表明

日本郵政の西川善文社長、辞任を表明〔AFPBB News

 未来の「日本むかしばなし」は郵政民営化の見直し、いや事実上の「官営回帰」をこんな風に伝承するかもしれない。その際、「クジラが暴れて長期金利が跳ね上がり、日本経済は没落したんだとさ・・・」という結末だけは避けなくてはならない。果たして、鳩山政権は危機管理対策を用意しているのだろうか。

 ゆうちょ銀行の抱える預金残高は178兆円(2009年6月末)。メガバンク最大手の三菱UFJフィナンシャル・グループの122兆円に比べると1.5倍近くになり、クジラの正体は世界最大級の金融機関である。

 郵政民営化前の日本郵政公社時代まで、国はクジラを他の魚(=民間金融機関)とは別にしてプールで可愛がっていた。クジラが集めた貯金は財政投融資の原資となり、「公共事業大国」を維持した。選挙になればクジラは大量の「票」も持って来て、自民党政権を支え続けた。

 その見返りに、国は旧郵便貯金法に基づいてクジラを手厚く保護した。条文には「郵便貯金として預入された貯金の払戻し及びその貯金の利子の支払に係る公社の債務を保証する」と明記されており、郵政公社が万一破綻しても国が貯金の全額払い戻しを約束していた。だからこそ、国民は安心して郵便局に通い続けた。

 もちろん、池の中で泳ぐ他の魚には「政府保証」は付かないから、金融界や米国などは「民業圧迫」と批判の集中砲火。しかし、クジラは涼しい顔で貯金を集め続けた。

郵政選挙後、一変したクジラの生活

 ところが、「自民党をぶっ壊す」と叫んで総理大臣の座に就いた男によって、恵まれたクジラの生活が一変してしまう。