19日の東京市場は、ドル円が神経質に振幅する展開だった。序盤76.50-60レベルでもみ合っていたドル円は仲値前に急伸、一時77.00レベルまで上昇した。市場では緊張感も走ったが、介入ではなく大口取引を伴うショートカバーとの見方が大勢だった。その後は、急速に値を戻して昼前には76円台半ばへと反落した。米債利回りが低下したことがドル円にとって売り材料との声もあった。市場では米金融緩和への思惑が広がって、一部に本日のNY市場引け後にFRBが緊急会合を開催する、とのうわさも流れていた。また、前日の世界的な株安の流れは止まらず、日経平均は一時200円超の下落、アジア株も各国大幅安となるなか、韓国株が5%下げる場面もあった。野田財務相は閣議後の会見で、世界株安は経済の先行きに対する不安が背景、(為替について)日銀と問題意識共有しながらお互いやるべきことをやる、と述べている。ドル円の振幅に伴って、クロス円も上下動。ユーロ円は110円台に乗せた後、109.50割れへと反落。豪ドル円は79円台で神経質に振幅している。なお、リスク回避ムードが広がったことで東京金先物が一時4545円まで上昇、最高値を更新して話題となった。NY金先物中心限月も1847.90ドルと最高値を記録した。

◆シュタルクECB専務理事、ユーロ共同債を批判
シュタルクECB専務理事は独ハンデルスブラット紙とのインタビューで、ユーロ共同債は見せかけの解決策、対症療法であり根本的な解決策ではない、誤ったインセンティブを与える、と指摘した。また、EFSFの倍増やECBの一段の流動性供給はいずれも有効ではない、ECBの債券購入規模とペースは市場の緊張がいつまで続くかによる、必要なのは構造改革、とも述べている。欧州債務問題には小手先の解決策はない、といった主旨となっている。ユーロドルは1.43割れ、ユーロ円109円台前半など上値は重かった。

(Klugシニアアナリスト 松木秀明)