17日のロンドン市場はドル安が進む展開。下げていた米株価指数先物や欧州株が一部、前日比プラスに転じており、リスク回避の和らぎから豪ドルやユーロといった比較的高金利通貨がドルや円に対して買われた。豪ドル/ドルは今月4日以来の水準まで上値を伸ばしている。ユーロ圏7月の消費者物価指数の確報値は予想や速報値と変わらず前年比2.5%増だったが、同数字の発表をきっかけにユーロドルは1.4400レベルから上値を伸ばしていった。
ドル円もドル安の流れから76.40台と、3月17日に付けた過去最安値76.25に迫った。ユーロ円や豪ドル円、カナダ円といったクロス円も本日の高値を更新している。

◆英MPC議事録と英雇用統計でポンド急落の場面も
17:30に発表された8/3-4日開催の英金融政策委員会(MPC)議事録では、政策金利の据え置きは全員一致だったことが判明。今まで利上げを主張していたデール委員とウィール委員が賛成したことはサプライズだった。また、最近の動向を受け金融刺激策の一部が解除される可能性は低下したとしている。加えて、同時刻に発表された雇用統計では失業率は悪化、失業保険申請件数は予想を上回っていたこともありポンドは値を飛ばして下落、ポンドドルは1.6410台から30ポイントほど急落後、1.6340台まで値を落とした。また、ポンド円は125.70台から125.20台まで下げ幅を広げた。ただ、共に下げが一服すると市場のリスク緩和を背景に買い戻され、ポンドドルは本日の高値を更新し5月31日以来の水準まで反発している。

◆スイス中銀には失望
スイス国立銀行(中銀)は、スイスフランは大幅に過大評価されているとしフラン高対策を強化すると表明、銀行の当座預金残高目標を1200億フランから2000億フランに引上げるとし、追加緩和の姿勢を示した。また、必要に応じて更なるフラン高対策を講じるともした。ただ、市場ではユーロスイスの下限設定やユーロペッグへの思惑があったことから、失望のユーロ売りスイス買いが入り、フランは急騰した。一旦、フランは伸び悩みもしたが堅調地合を維持している。
ただ、スイス政府は本日フラン高に関して協議しており、記者会見が催される可能性があるので注意したい。

Klugアナリスト 鈴木信秀