IT業界では、システム開発会社やソフトウエアベンダーが企業独自の面白い表現をよく使う。

 例えば、独SAPはERPツール「R/3」などのシステムプログラム開発者を「ABAPer(アバッパー)」と呼ぶ。米オラクルはERPツール「E-Business Suite(EBS)」のシステムプログラム開発者を「Developer(デベロッパー)」と呼ぶ。面白いところでは、イスラエルに本社を置くマジックソフトウェア・エンタープライゼスはアプリケーション開発フレームワーク「dbMagic」を使った開発者を「Magician(マジシャン)」と呼ぶ。

 私もここで新しい職種を提案したい。それは「BPA-Per(ビーパッパー)」である。

 「BPA-P」とは「Business Process Architect Proffesionals」の略だ。第三者的な立場で、いろいろなプロジェクトのリソース配分や進捗状況、コストを工程ごとに可視化し、間違いや無理・無駄を排除して、最終的にプロジェクトを成功に導く職種を指す。

 プロジェクトマネジャーが予算や品質面などで都合のいい管理をしないように、またユーザー企業も同じようなことをしないように、公平にプロジェクトを診断して助言し、システム開発の指針を出す人。いわば監査法人のような役割である。

プロジェクトが最後に赤字になってしまう原因は?

 なぜ、私がこのようなことを言い始めたかというと、次のような経緯があるからである。

 当社のマネジャーミーティングで、いつも侃々諤々(かんかんがくがく)の議論になるプロジェクトがある。当社は外食産業の会社から、4年にわたって継続的に複数のプロジェクトを受注している。発注してくれるのはありがたいことなのだが、プロジェクトが5件ぐらい続けて赤字なのだ。

 各案件の赤字幅は少しずつ減少しているものの、なんとも悩ましい問題である。プロジェクトの途中の予算実績管理では「利益」が出ている。だが、プロジェクトが終了すると「赤字」になっているのである。

 まず、大きな原因は見積もりのミスである。最初の見積もりを大きく間違えて、往々にして「極安」価格で提案してしまう。その後、徐々に改善するものの、最初の「極安」が物差しとなり、それに引きずられてしまう。

 もう1つの大きな原因は、リソース単位や組織全体のコスト管理が甘いのである。

 プロジェクトに投入しているのは、社内で比較的手が空いている人材だ。どうせ次の案件までやることがないんだからという理由で、厳密なコスト管理をしていないのである。

プロジェクト管理ツールの手を借りることに

 そこで、当社では思い切ってプロジェクト管理ツールを入れることを検討し始めた。今回は、さすがに全社を挙げて導入することを決め、どのツールにすればいいのか検討中である。