SNSフル活用するオバマ政権
米国のオバマ大統領は、大統領選挙の民主党予備選の段階から、こうした新しいサービスを積極的に活用した。
まず、自らのサイトにSNSを導入。支援者たちが、地域ごとに集まって交流したり、草の根集会を開くのを容易にした。さらに、個人献金を集め、本人からのメッセージを届けるためのプラットフォームとしてSNSは機能した。このような、ネット戦術によって、若者の浮動票を巧みに取り込んだことが、勝利の一因ともされている。
大統領に就任するとすぐに、大統領令、大統領覚書で情報公開の拡大を指示、ネットを駆使した情報発信を精力的に行っている。
例えば、ホワイトハウスのウェブサイトのトップページを見ると、「THE BLOG」というコーナーがあり、ブログ形式で政府の最新情報を提供している。
SNS大手マイスペースに開設されたホワイトハウスの公式ページ〔AFPBB News〕
さらに、Facebook、Twitter、Flickr、MySpace、YouTube、Vimeo、iTunes上でそれぞれホワイトハウスの専用ページを開設しており、ウェブサイトからワンクリックで移動できるようにしている。
これらの情報発信の陣頭指揮を執っているのが、34歳の若さで連邦政府の最高情報管理官(CIO)となったビベク・クンドラ氏だ。
クンドラ氏が真っ先に取り組んだのは、政府関係のあらゆる情報を検索するためのポータルサイトとして、「Data.gov」を開設した。行政機関が持つ情報をオープンにすることで、新しい製品開発を促したり、これまでにないデータの活用の仕方を生み出すことが狙いだ。
既存メディアに一石を投じる情報政策
大統領選のさなか、3億円で主要テレビ枠を買い取った。テレビからネットまで総合的なメディア戦略を展開したオバマ陣営〔AFPBB News〕
オバマ政権は、テレビ、新聞など従来型のマスメディアを介して間接的に国民に情報を届けるだけでなく、まずは1次情報を修正することなく直接国民に情報発信する仕組みを作ったのである。
米国では、情報管理の厳しい軍までが、TwitterやFacebookなどの各種SNSツールを使ってメッセージを発信しているのである。
オバマ政権は、このようなSNS利用によって国民との双方向のコミュニケーションを実現し、国民の意見やアイデアを吸収しようとしている。これは単にこれまでの電子政府のあり方を超えて、国民と政府の関係性や政策形成を変えようとする新しい情報社会としての取り組みであり、既存メディアのあり方に一石を投じるものである。