全仏オープンの混合ダブルスチャンピオン、平木理化さんの名前は、多くの方がご存じだと思います(平木さんは「オン・ザ・コート」の2月5日の記事にも登場しています)。

 私は小学生の時に、朝日生命久我山ナショナルテニスセンターで、平木さんと一緒に強化ジュニアのメンバーとして練習をしていました。また、大学生時代には共にユニバーシアード福岡大会の日本代表メンバーとして戦いました。当時、平木さんは青山学院大学、私は慶應義塾大学の学生でした。

 お互いにプロになってからはなかなか会うことがなかったのですが、先日、約15年ぶりに平木さんと会う機会を得ました。今回は、その時の対談の様子をお伝えします。

平木さんも伊達さんも、集中力がものすごい

全仏・混合ダブルスチャンピオン(97年)の平木理化さんと再会。現在、平木さんはNTTコミュニケーションズに勤務している

坂井 今の日本のプロ選手を見ていると、より強いメンタリティーを身につけられれば、もっと上に行けるのにと思える人がけっこういます。だから、僕は平木さんのメンタル面にすごく興味があるんです。

平木 練習と試合でプレーが変わってしまう人は多いですよね。練習と違って、試合では相手からプレッシャーをかけられたり、自分自身でプレッシャーをかけてしまったりすることがあります。メンタルの要素は本当に大きいと思います。

坂井 平木さんはとにかく集中力がすごいという印象があります。伊達公子さんにも共通して言えますけど、平木さんは練習での追い込み方や集中力が半端ではないですよね。

 これは冗談ではなく、もしかしたらヘアバンドに秘密があるのかなって昔から思っていたんですよ。小学生の時に平木さんと一緒に練習をしましたが、当時からヘアバンドをしていましたね。ヘアバンドをするとスイッチが入って、何と言うか、オーラが出てくるのが分かるんです。あのヘアバンドと集中力は、絶対関係ありますよね。

平木 どうなんでしょう、自分では意識していませんけど(笑)

筋トレは細い筋肉を強くするため

坂井 平木さんは日本人選手の中でも小柄な方ですよね。その体格で世界を相手にしていたというのがすごい。身長はどれくらいですか。

平木 157センチです。

坂井 やはり小柄な女子選手として世界トップで戦っていた南アフリカのアマンダ・クッツァーがいました。クッツァーとどちらが大きいですか。

平木 ジュニア時代は同じ背の高さだったんですけど、気がついたらなぜか向こうの方が大きくなっていました(笑)。

坂井 もしかしたら平木さんは、今までで一番身長が低いトップ100選手であり、グランドスラムチャンピオンなんじゃないですか。

平木 WTA(女子テニス協会)ツアーで小さい選手と言えば、クッツァーとアン・グスマン、そして私だったんです。でも気づいたらみんな私より大きくなっていて。そういえば、アメリカで試合した時に「体重が100ポンド以下の選手」って紹介されたこともありました。面白いこと言うなあと思いました。