18日のNY市場、欧米の債務問題に解決の糸口が見えない中、市場はリスク回避的な雰囲気が先行した。全体的にドルが買われる展開となっている。
欧州もギリシャへの第2次支援策での合意が見えず、米債務上限引き上げ問題でもオバマ大統領と共和党の溝が埋まらない。大統領は共和党案が議会を通過しても拒否権を行使する姿勢を示している。イタリアなど重債務国の国債利回りがユーロ発足後の最高水準を更新する中、欧州通貨や資源国通貨は売りが先行した。先週結果が発表された欧州銀ストレステストの結果についても、ギリシャ債などのデフォルトを織り込んでおらず、疑問視する声も出ている。欧米の株式市場では金融株の下げが目立っていた。
ただ、後半になってユーロだけはショートカバーが強まった。特に材料らしい材料も見当たらなかったが、下値では中東やアジアなどソブリン系の買いが恒常的に入っており下値をサポート。ユーロドルは1.40を割り切れずにショート勢が一旦利益確定に動いたようだ。
ドル円は79円台前半での小幅な動きに終始。今週前半に79.00と79.25、79.30のオプションの清算が観測されている状況。
◆ECBは債券を購入せず 噂の範囲
ECBは15日までの週に証券市場プログラム(SMP)を通じた債券購入を行わなかったと発表。先週はイタリア債利回りが急上昇していたが、ECBが購入しサポートしたのではとの噂も出ていた。しかし、それは噂の範囲だったようだ。
ドイツ政府はギリシャ債を40%程度減免して、民間から買い戻す案を提示しようとしているとも伝えられている。その場合、デフォルトということになるが、ECBはいかなる民間関与もデフォルトであれば認めない姿勢を示している。先週までの債券未購入は、そうした姿勢を暗に示しているのかもしれない。購入が無かったのは16週連続。
(Klugシニアアナリスト 野沢卓美)