2009年6月25日。キング・オブ・ポップス=マイケル・ジャクソンの突然の悲報は全米のみならず、世界中のファンに衝撃を与えた。その後の米国での洪水のようなマイケル報道は、国民の関心の高さを裏づけるものだ。スティービー・ワンダーやマライア・キャリーら多数の著名人が出席した追悼式の模様はインターネット中継までされた。そして、マイケルの死は、その後も、何週間にも渡って、人々の関心を集め続けた。(敬称略)
独立系世論調査機関ピュー・リサーチ・センター(The Pew Research Center for the People & the Press=PRC)が、マイケルの死から3週間目にあたる7月6~12日、人々が関心を持ったニュース項目を調査した。その結果は、1位がマイケル関連報道の29%、以下、経済報道(20%)、オバマ米大統領のロシア、イタリア歴訪(12%)、医療改革(11%)、共和党副大統領候補だったペイリン・アラスカ州知事の辞任発表(8%)、中国新疆ウイグル自治区暴動(2%)と続いた。
さらに、PRCの最新ニュースインデックス調査(7月10~13日の間実施、サンプル数1000人)では、25%が「マイケル死亡のニュースを頻繁にチェックした」と回答。6月25日の週には30%近くの人がこのニュースを求めてメディアに接触し、2週目でも25%、そして3週目に入っても同程度の割合でマイケル報道をチェックしていたとの結果が出ている。
PRC調査で「最近のニュースのうち、友人らとの会話で話題に上ったもの」を3つまで挙げてもらったところ、43%が「マイケルの死」と回答、第2位の「米国経済情勢」(18%)を倍以上の引き離すダントツの1位だった。続く、医療改革、ペイリン氏辞任、アメリカンプロフットボールのマクネア選手殺害事件の3つが8%程度、オバマ大統領外遊4%、イラン、北朝鮮関連は2%、イラク、アフガニスタン関連は1%となっていることを考えると、マイケルの悲報がいかに、米社会で人々の話題をさらったかを読み取ることができる。
死亡報道は芸能専門サイトのTMZが先行
マイケル報道で、一躍、海外にもその名をとどろかせたのが、タイム・ワーナー傘下の米芸能専門ニュースサイトのTMZだった。6月25日の午後5時20分、TMZが一早く「マイケル死亡」を伝えると、ロイターなど有力通信社が「TMZによると・・・」と転電した。
後追いの一番手は、地元カリフォルニアの有力紙ロサンゼルス・タイムズのインターネット版。その後は、世界中のメディアがカリフォルニアに殺到し、衛星中継車、空撮用のヘリコプターが大量に投入されるなどで、マイケルの自宅や病院周辺は騒然となった。