11日のロンドン市場は、ユーロ売り一色の相場展開となっている。ファンロンパイEU大統領の提案でEU首脳らが緊急会合を開催しており、ギリシャ支援問題やイタリア財政問題について話し合われることになっている。市場では先週末に続いてイタリアの大規模な財政赤字への不透明感が広がっている。ロンドン序盤からイタリアなど重債務国の国債が売られ、ドイツ国債との利回り格差が記録的な水準へと拡大している。また、欧州株もドイツやフランスなど欧州大陸の株式市場の下げ幅が1%超と0.5%安程度の英FT指数にくらべて大きくなっている。スペイン、イタリアなどは2.5%超の大幅安となっている。メルケル首相は、イタリアに全幅の信頼、ユーロ防衛にあらゆる措置を講じる、と述べていたがユーロへの市場の不安感は払拭できていない。
ユーロドルは1.42近辺から1.4050台へと下落、約1ヶ月半ぶりの安値水準となっている。1.41割れではまとまった金額のストップ注文も執行された模様。ユーロ円は114.50割れから113.20台へと1円以上の下落、約4ヶ月ぶり安値水準となっている。ユーロポンドも0.88台後半から前半へと水準を下げている。また、リスク回避の際にスイスフラン買いが強まることが多いが、本日もユーロスイスが売られて1.1745レベルと史上最安値(スイスフランの対ユーロでの最高値)を記録している。ユーロは対資源国通貨でも売られており、全面安の様相を呈している。
◆リスク回避、ドル高・円高傾向も
週明けのロンドン市場は、前週末の予想外の弱い米雇用統計に加えて、欧州債務問題が再び持ち上がったことで株安・原油安などリスク回避の相場付きとなっている。ユーロ以外の通貨では、原油安の影響でカナダドルが軟調になっている。カナダ円は83円台後半から前半へと下落、ドルカナダは0.96台前半から後半へと水準を上げている。米景気回復への懸念が、密接な経済関係のあるカナダにも影響することが懸念された面もありそうだ。また、ドル円は80.80レベルから80.50台まで下げ、東京市場での上げを消している。豪ドルやNZドルは対ユーロで堅調に推移していることもあり、対円や対ドルでの下げは比較的小幅に留まっている。豪ドル円は86円台前半、豪ドル/ドルは1.07割れ水準となっている。
(Klugシニアアナリスト 松木秀明)