17日のNY市場はユーロの買い戻しが目立っている。ロンドン時間からの流れを引きついでユーロは上昇。きょう行われた独仏首脳会談で、意見を異にしていた償還を迎えるギリシャ債の対応について、民間保有者が自主的に新発債へのロールオーバーに応じるウィーン・イニシアティブの方式を軸とすることを両国が確認したことで懸念は一服。NY株式市場も好感して上昇する中、今週1.40台まで下落していたユーロドルは1.43台まで戻している。
リスク回避の動きが一服していたものの、商品市場で原油が急落し、また、ムーディーズがイタリアの長期債の格付けをAA2から引き下げる方向で見直すとの発表などもあったが、ユーロの反応は限定的で底堅い動きを続けた。
ただ、これでギリシャ支援に対する懸念が完全払拭というわけえでもなく、戻りも限定的な雰囲気も見られている。ショートカバーの範囲。
この流れの中、ドル円は売り優勢で80.00付近に再び到達している。ただ、下値での買い圧力も観測される中、80円割れを積極的にトライする雰囲気までは無かった。
◆ポンド、最近はドルに近い動き 来週はMPC議事録
ユーロのリバウンドに連れ高となり、ポンドドルも買戻しされていたものの、対ユーロや円に対しては弱い動きをしており、ユーロや資源国通貨と比較すると見劣りする。欧州通貨ではあるが、最近はドルに近い動きをしているようにも見える。追加利上げが迫っているユーロや利上げ再開の期待もある資源国通貨と比較すると、ポンドの利上げ期待はかなり後退しており、その意味ではドルに近いと言える。来週は先週開催された英中銀政策委員会(MPC)の議事録が発表される。タカ派の急先鋒だったセンタンス委員が抜け、新たにブロードベント委員が加わっている。就任前はタカ派とも見られて委員だが、就任前の議会証言では現状の緩和スタンスを容認する発言もしており動向が注目される。
(Klugシニアアナリスト 野沢卓美)