欧州中央銀行(ECB)は6月4日に開催した定例理事会で、前回5月理事会で導入を決めたカバードボンド買い入れ600億ユーロの具体的内容を決定した。今年7月から2010年6月まで、発行市場・流通市場の双方から買い入れを実施する。対象となるカバードボンドについては、ECBによる資金供給オペの適格担保であることが必要条件であるほか、格付け基準なども示された。トリシェ総裁によると、買い入れの中心になるのはおそらく3~10年物。現時点では買い入れ規模の拡大などは検討されていない。
四半期ごとに公表されるECBスタッフによる経済見通しのうち、実質GDPと消費者物価指数(HICP)の数字は、以下の通りである。
実質GDP見通しは、2009年、10年ともに下方修正。トリシェ総裁は、2009年1-3月期は極めて弱い数字になったものの、年内に落ち込みはより小幅になり、10年半ばまでにはプラス成長に転じるだろう、と発言した。日本については早ければ4-6月期、米国についても7-9月期にはプラス成長に転じるという見方が一般的であるだけに、ECBがみているユーロ圏のプラス成長転換時期の遅さが目立つ。