内閣府国民生活局から6月2日、「平成20年度国民生活モニター調査」の結果が発表された。調査実施期間は2月19日~3月4日で、全国の国民生活モニター2000人が対象(回収率89.4%)。
GDP統計を見ると、実質ベースの民間最終消費支出(個人消費)は、昨年7-9月期に前期比+0.1%と微増した後、10-12月期が前期比▲0.8%、今年1-3月期が同▲1.1%と、期を追うごとに悪くなっている。消費者の意識を探る調査としては、月次の「消費動向調査」(内閣府経済社会総合研究所)、四半期ごとの「生活意識に関するアンケート調査」(日銀)があるわけだが、それら調査よりも国民生活モニター調査の方がダイレクトに、今回の「消費不況」の原因を明らかにしてくれているように思われる。
「あなたの世帯の今の消費支出(総額)は、去年の今頃と比較してどうですか」という設問に対する回答は、「かなり多くなった」(10.0%)、「少し多くなった」(33.9%)、「変わらない」 (26.6%)、「少し少なくなった」(24.3%)、「かなり少なくなった」(4.9%)などとなった。
ここで、増加したとする回答の合計は43.9%で、ガソリン価格高騰がピークに達していた昨年8月に行われた前回調査の74.1%から、30%ポイントを超える大幅な減少となった。日頃よく購入する商品・サービス価格についての質問に対する回答内容(「かなり上がった」が63.9%から23.0%に急減)などと照らし合わせると、原油などエネルギー価格の急反落が、やむを得ない支出増を少なくする方向に作用していることがうかがえる。ちなみに、今回調査で、支出を増やした理由のトップは、「冠婚葬祭など普段あまりない出来事があったから」(52.6%)である。
より注目すべきは、支出を減らした理由である。「少し少なくなった」あるいは「かなり少なくなった」理由として選択された上位6つは、以下のようなものだった(複数回答)。
・「将来の仕事や所得不安や不確実性が強まったから」(前回46.2%→今回58.8%)
・「今後、増税や社会保障負担引上げが見込まれるから」(前回49.7%→今回47.3%)
・「一時的でなく、今後も所得が減少していくと思ったから」(前回41.5%→今回47.3%)
・「株などの金融資産が値下がりしたから」(前回10.8%→今回28.9%)
・「今後、社会保障給付の引下げが見込まれるから」(前回30.3%→今回25.5%)
・「各種の社会的事件など社会的不安が高まったから」(前回10.8%→今回19.9%)
上記回答内容を筆者なりに整理すると、消費者が支出を減らした理由は、(1)雇用・所得不安、(2)将来の国民負担増加見通し、(3)恒常的な所得減少の懸念、(4)株安などによる逆資産効果、という順番になっている。
特に(1)と(3)については、昨年8月の前回調査から数字が上がっており、雇用と所得・収入への不安感が、現実の雇用情勢悪化を背景に、一段と強くなっていることが示されている(しかもこの調査は2~3月実施であるため、その後明らかになった失業率急上昇や春闘の厳しい結果はまだ反映されていないことに留意)。