9日の東京市場は、オセアニア通貨の動きが目立った。NZドルは早朝のNZ中銀声明を受けて買われた。NZ中銀は市場の予想通り現行の2.5%に政策金利を据え置いた。声明で、今後2年間で利上げも、と表明されたことでNZドル買いが殺到した。NZドル/ドルは0.8140レベルから0.82台乗せ、NZドル円は65円近辺から66円台乗せまで上伸した。一方、日本時間10時半に発表された5月の豪雇用統計は新規雇用者数の伸びが7.8千人に留まり市場予想の2.5万人増を大きく下回った。豪ドルが急落。豪ドル/ドルは1.0660レベルへとジリ高の展開だったが、発表を受けて一気に1.05台後半へと売られた。85円台乗せとなっていた豪ドル円も84円台後半へと押し戻された。オージー・キーウィーは、両イベントを通して1.30台から1.28台後半まで下落した。昼ごろにブラードNZ中銀総裁が、声明への市場の反応は強気過ぎる、とNZドル高に不快感を表明してNZドル買いはやや落ち着いたが、NZドル円65円台半ばなど、引き続きNZドル高水準を維持している。
◆ドル円は80円台を回復
オセアニア通貨は波乱の動きとなったが、その他主要通貨では円安傾向が広がった。ドル円は79円台後半から取引が始まったが仲値にかけて80円台を回復すると昼ごろには80.31レベルまで上昇した。日経平均は軟調に推移していたが、午後には前日比プラスに戻している。ただ、アジア株が全般に軟調なことで円安の勢いは午後にかけて弱まっている。ドル円は80円を再び割り込む場面もあった。クロス円は全般に堅調に推移している。ユーロ円は116円台半ばから117円台前半へ、ポンド円は131円近辺から131円台後半まで上昇して、前日のNY市場より水準を上げている。ECB理事会を控えたユーロドルは1.45台後半から1.46台前半へと反発している。市場にはトリシェECB総裁会見で、次回の利上げを示唆するとの思惑もあった模様。なお、朝方に発表された日本の第1四半期GDP2次速報は前期比年率マイナス3.5%と予想ほどは改善しなかった。
(Klugシニアアナリスト 松木秀明)