MRIC by 医療ガバナンス学会 発行

 末梢血幹細胞採取は、血液内科専門医にとってはごく日常的な医療処置だ。しかし、医師であっても専門外であれば、あまり正確に理解されていないのが実情だ。これは医療が高度化し進歩が著しい現代に生きる医療者にとって、ある意味やむを得ないことだ。

国内外の反響

 このため4月15日、我々は世界中の一般の医師を広く読者に持つ医学専門誌ランセットに谷口プロジェクトについて発表し、国内外の多数メディアがそれを報道した(14)。

 また、原発作業員の方々やそのご家族に分かりやすく説明する必要性もあったことから、5月3日から5日にかけMRICで一般向け解説文を発表した(15)。

 この文章は、村上龍氏の主宰するメールマガジンJMMでも配信された。この反響はすさまじく、我々のウェブサイトは平常時で300visits/day程度なのが、ピーク時には1万7202visits/dayと50倍以上に増加し、一般の方々から多数の寄付の申し出も頂いた(注:寄付は現在のところ受け付けておりませんが、この場を借りて皆様に厚く御礼申し上げます)。

 また、糸井重里氏(16)、伊東乾氏(17)、池田香代子氏(18)、江川紹子氏(19)、宮台真司氏(20)など言論人の方々からもコメントを頂いた。

谷口プロジェクトに対する意見公募

 なお、谷口プロジェクトに対し、意見論文投稿(日本語の場合4000字以内を目安、他言語も可、MRICもしくは谷口プロジェクトのウェブサイト上で掲載、投稿者名は実名で公開とさせて頂きます)および公開討論会開催に向け登壇者を公募させて頂きます(締め切り:2011年6月30日、連絡先はこちら)。

政界の動き

 さて、谷口プロジェクトについては、国内外で賛否両論あり、2カ月が経過した今も国内のコンセンサスは得られていない。

 原子力安全委員会は谷口プロジェクトの提案直後から、「(1)作業員にさらなる精神的、身体的負担をかける、(2)国際機関での合意がない、(3)十分な国民の理解が得られていない」との理由(21)で反対を続けている。

 4月25日に舛添要一議員が菅直人首相に代表質問した際にも、原子力安全委員会の見解を根拠に必要ないとの判断が示された(22,23)。ほかにも、石橋みちひろ議員(24)、柿沢未途議員(25)、福田衣里子議員(26)、森ゆうこ議員(27)らが質問を行っているが、いずれも政府からは否定的な見解が出されている。

国内外の専門家からの反論

 チェルノブイリ等でも診療に当たったロバート・ゲイル博士は、3月の来日当初は谷口プロジェクトに賛意を示していたものの、その後何らかの理由により反対に転じ(28)、5月30日時点で筆者が面会し直接尋ねた際も依然として反対しているとの意見を頂いた。

 公開討論を申し込んだところゲイル博士から直接の了承が得られたが、直前になり時間がないとの理由で何故か突然キャンセルとなった。

 ただし、ゲイル博士の弁によれば、谷口プロジェクトに対する博士の見解が、近日医学専門誌ランセットに発表されるとのことであり、我々もその後の福島第一原発の最新状況を踏まえた追加論文を準備している。