菅直人首相の不信任決議案が否決され、そう遠くない時期に辞任されることとなりました。なんだかよく分からない結末ですが、総理大臣が辞任するのが分かっているということは、大臣も交代する可能性が高くなるわけですから、霞が関の役人は、大臣など政務三役の言うことをますます聞かなくなることでしょう。

 また、交代するかもしれない大臣が、長期的な政策に取り組むわけもありません。遠くないうちに辞任するくらいなら、すぐに辞任して新体制に切り替えた方がよほど良いのですが、これも政治的な妥協の1つなのでしょうか。

増税以外の手を打とうとしない財務省

 さて、政治的なゴタゴタはけりがついたのでしょうから、いよいよ復興予算をどのように組んでいくのかということが大事な課題となります。

 増税するのか、国債の発行でしのぐのか、それともみんなの党の江田けんじさんが言っているように国債整理基金への繰り入れを今年度だけ停止するのか(10兆円が生み出されます)、雇用保険特別会計の剰余金5兆円を使うのか、政府の保有株式を売却することによって対応するのか。

 この点については、民主党内でも自民党内でも、意見が分かれるようです。企業の経営再建でも、借金だらけの家庭の立て直しでも、まずは資産を洗い出して必要ないものは売却し、無駄な経費は削ります。女性の間で大はやりの「断捨離(だんしゃり)」も同じです。

 財務省は、この震災復興対策の財源問題をきっかけとして消費税を上げるのが悲願でしょうから、国債整理基金への繰り入れを1年だけ停止することや、政府が持っている売却可能資産を早急に処分することを決して行おうとはしないでしょう。「お金がある」ということになれば、「増税の前にそれを使おう」ということになりますから。

自治体は電力会社の大株主

 残念ですが、政府も自治体も、不要な資産の洗い出しと売却はとても甘いのが現状です。地方の小規模な自治体には、売却可能な資産はあまりありませんが、東京都や大阪市などの政令市レベルとなると、実は結構な資産があるのです。

 その代表例が、先日もマスコミで報道された電力株です。