2日のロンドン市場は、ドル安が進行した。特にユーロドルやポンドドルが主導する形で上昇している。この日は主要な欧州経済指標の発表に欠ける材料難のマーケットだったが、ポンドが英建設業PMIに反応した。5月のデータが54.0と予想53.5を上回ったことでポンド買いが広がり、ポンドドルは1.63台前半から一時1.64台乗せ、ポンド円は132円割れ水準から132円台後半まで上昇した。これに連動する形でユーロも水準を上げた。ユーロドルは前日高値を越えて1.44台後半へと上昇、ユーロ円は一時117円台を回復した。
ユーロ買い材料はややハッキリしなかったが、市場ではスペイン債入札が順調だったことや、ギリシャ政府が中期財政計画を受諾したこと、トリシェECB総裁のユーロ財務省構想などが取り沙汰されていた。一方、欧州株は前日の米株安を受けて下落。また前日にムーディーズがギリシャを格下げしたことで、ポルトガルとアイルランドの国債保証コストが過去最高となるなどソブリンリスクは深刻化している。ユーロドルにとっては、ポイントとなる1.44台半ばの売りをこなして前日高値を抜けるなどフロー中心の動きもあったようだ。また、ドルインデックスが一時74.29と5月6日以来の低水準になるなどドル安相場の面も強かった。ドル円は80.70レベルへと水準を切り下げている。
◆きょうの欧州関連報道
ギリシャ政府は、中期計画で民営化、政府支出削減、財源確保などの迅速化を進める、金曜日までにEU/IMF/ECBによる条件設定の話し合いの完了を望む、2011年予算で税引き上げなどによる64億ユーロ規模の新規措置について合意、などと報じられている。
トリシェECB総裁がドイツ、アーヘンで講演、ユーロ圏財務省の創設を呼びかけ、ルール強化が緊急課題、ユーロ圏財務省は財政政策と金融セクターを監視、EUは場合によっては加盟国の政策に拒否権も、と述べている。また、これまで通り、ユーロの危機は存在しない、ECBの優勢課題は物価の安定、と繰り返した。
ユンケル・ユーログループ議長はドイツで記者団に、ギリシャに関する最終決定は月内を目指す、ギリシャに関する報告書は数日内にまとまる見込み、と語った。
(Klugシニアアナリスト 松木秀明)