景気後退が世界的に続く中で、ロシアの第1四半期の実質GDP成長率について、マイナス9.5%(前年同期比)という速報値が出ている。この大方の予想を超える実体経済の落ち込みを受けて、政府による2009年成長率見通し(現行はマイナス2.2%)に対して、下方修正が再度加えられる見込みとなっている。

 このように、景気後退が持続し経済危機に直面しているロシアであるが、そのような中で、ロシア人は一体どのような意識を持って今回の経済危機に対処しているのだろうか。本稿では、世論調査のデータを用いつつ、経済危機下ロシアの世相について見ていくことにする。

大統領、首相に対する支持率

 まず、メドベージェフ大統領、プーチン首相による「2頭体制」に対する支持率の動向を見ると、図1の通りである。

 図1を見ると分かるように、大統領に対する支持率よりも、首相に対する支持率が一貫して上回っている。

 その差を見ると、就任当初(昨年5月)は10%の差が開いていたが、グルジア紛争勃発後の9月には5%まで縮まった。その後は7~8%の差が続いている。

 また、世界的な金融危機が本格化した昨年秋以降、支持率は大統領、首相ともに漸減傾向にある(大統領支持率は今年4月時点で60%台まで落ち込んだ)一方で、不支持率は漸増傾向にある。

 政府が経済危機対策に躍起になる背景には、上記で見たメドベージェフ・プーチン「2頭体制」に対するロシア国民の支持の後退、および不支持の増加を指摘することができよう。

市民の不安

 次に、経済危機の到来に際してロシア人が抱いている不安について見ることにする。

 表1を見ると、2009年2月時点で、「かなり不安を覚える」が過半数の56%となっている。また、「かなり不安を覚える」と「ある程度不安を覚える」を合わせた比率は、2009年2月時点で87%に上り、その後も80%台で推移している。

 このように、ロシア人の大部分は、経済危機の到来に際して不安を抱いている。