次回WBC、ロス五輪に向けてすでに動き出しているネトフリ、アマゾン、ESPN
この成功体験は、さらなる「地殻変動」を加速させる。ネットフリックス側はすでに、2030年3月開催が見込まれる第7回WBCの独占放映権取得に向け、早くも照準を合わせている。
さらにはアマゾン・ドット・コムが運営する「アマゾン・プライム・ビデオ」や、ウォルト・ディズニー・カンパニー傘下のスポーツ専門局「ESPN」といった他の巨大配信資本も、この「勝利の方程式」に倣おうと手ぐすねを引いているのが現状だ。4年後、さらに高騰する放映権料を日本の地上波局が払えるはずもなく、その「惨敗ストーリー」はもはや不可避と言える。
事態はWBCに留まらない。真に深刻な懸念は2028年のロサンゼルス五輪で野球が競技種目として復活することに伴う、さらなる「放映権の切り売り」である。
現在、MLBと選手会はレギュラーシーズンを中断してまでトッププレーヤーを五輪に派遣する方向で具体的な調整を続けている。ドジャースの本拠地で開催される五輪に大谷が出場することへの期待感は、世界的な規模で高まっている。
もちろん、2028年のロサンゼルス五輪にメジャーリーガーが参加するまでの道のりは、決して平坦ではない。米有力紙「ニューヨーク・タイムズ」傘下のスポーツ専門メディア「ジ・アスレチック」などが報じている通り、解決すべき課題は依然として山積しているのが実情だ。
まず大きな壁となるのが保険の問題である。
数億ドル規模の契約を結ぶスター選手が怪我を負った際、その膨大な補償をMLB、選手会、あるいは五輪組織委員会のどこが負担するのか。WBCにおいても一部のスター選手が保険の適用外を理由に出場を断念した経緯があり、より規模の大きな五輪ではその調整はさらに難航することが予想される。
また、日程調整も極めて困難な作業となる。
レギュラーシーズンを中断する場合、例年のオールスター戦の休止期間を大幅に延長する必要があり、放映権を持つテレビ局やスポンサーとの契約変更が不可避となる。
さらに、選手たちの宿泊施設を巡る議論や、五輪に参加しない残りの選手のコンディション維持をどう図るかなど、次期労使協定(CBA)交渉の中で解決すべき細かなルール作りが山ほど残されている点は確かに否定し切れない。
しかし、こうした数々のハードルを越えてでも大谷を筆頭とする「最強の布陣」を五輪の舞台に立たせようとする機運は、かつてないほど高まっている。
フィリーズの主砲、ブライス・ハーパーが「オリンピックは別格だ。どんな競技でも世界中が見る」と公言している通り、選手たちの参加意欲は極めて高い。ロブ・マンフレッド・コミッショナーも実現に前向きな姿勢を崩しておらず、MLBという巨大組織が「五輪」という究極の宣伝媒体を最大限に活用しようとしているのは明白である。
課題山積ではあるものの、最終的には「大谷参加」という結論に向けて、あらゆるステークホルダーが妥協点を見出すという見方が業界内では支配的だ。