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冬ドラマ(放送期間は1~3月)が中盤に差し掛かりつつある。現時点でのベスト5を決めたい。選考に当たるのはテレビ界取材歴30年以上の放送コラムニスト・高堀冬彦氏。豊富な知識と公平な評価には定評がある(*本記事にはネタバレが含まれます)。

(放送コラムニスト:高堀冬彦)

『おコメの女―国税局資料調査課・雑国室―』(テレビ朝日)

 5位は『おコメの女―国税局資料調査課・雑国室―』。東京国税局のアウトサイダーたちが悪質な脱税を次々と摘発する。痛快な社会派エンターテインメントドラマだ。

 主人公は腕利きの国税調査官・米田正子(松嶋菜々子)。「ザッコク」と呼ばれる複雑国税事案処理室で事実上のリーダーを務めている。新設されたばかりの傍流の部署だ。

『おコメの女-国税局資料調査課・雑国室-』出演の俳優陣。左から長濱ねる、佐野勇斗、松嶋菜々子、大地真央、高橋克実(写真:産経新聞社)

 ザッコクに集まったのは異端者ばかり。運が良いしか取り柄がなく、頼りにならない室長の古町豊作(高橋克実)。かつては「ガサ入れの魔女」と呼ばれた凄腕の調査官だったが、長いスランプがあった飯島作久子(大地真央)。心理学に通じているものの、協調性に欠ける俵優香(長濱ねる)。東大卒ながらエリートコースを嫌う笹野耕一(佐野勇斗)。

 だが、4人は米田の絶妙なリーダーシップによって見事にまとまり、次々と脱税を摘発。不当な利益をむさぼっていた脱税者たちは肩を落とし、国税局の本流部署は悔しがる。だから痛快なのだ。

 脚本が良い。毎回、時事性を採り入れた奇抜な脱税が登場する。映画『マルサの女』(1987年)のころから、脱税モノの面白さは手口によって決まる。

 たとえば第3回。米田たちは全国に分院を展開する美容クリニックに目を付ける。このクリニックは雇用した分院の院長をなぜか開業医という扱いにしていた。開業医は2年間、消費税が免税になるからだ。消費税を脱税していた。美容クリニックの全国展開を採り入れたところに現代性を感じさせた。

 物語はこれで終わらなかった。クリニックは占いサロンと共謀し、占いに訪れた女性たちに手術で手相を変えさせていた。開運のためと称していた。

 占いサロンは宗教法人を買い取っていたため、お布施は無税。クリニックは手相手術の斡旋料をお布施と偽って支払っていた。

 もっとも、米田たちが消費税制度とお布施の悪用を突き止め、摘発する。悪党が勝つことはないから、ストレスが溜まらない。独特の税金用語には親切な解説が加わるから、分かりにくい部分はない。

 52歳になった松嶋の主演連続ドラマは9年半ぶり。貫禄が出てきた松嶋の演技も見どころの1つ。予算不足の他局のドラマの中には名前の知られていない俳優が多数出ているものもあるが、このドラマの出演陣は隅々まで豪華。