『未来のムスコ』(TBS)

 2位は『未来のムスコ』。大別するとラブストーリーなのだが、観る側に家族の意味、生きる意義を考えさせる。

 主演はかつて天才子役の名声をほしいままにした志田未来。プライム帯(午後7~11時)での連続ドラマ主演は15年ぶりになるが、やはり天才的演技を見せている。

『未来のムスコ』の俳優陣。前列左から西野七瀬、志田未来、天野優、ビビる大木、後列左から小瀧望、塩野瑛久、兵頭功海(写真:産経新聞社)

 志田が演じている主人公は汐川未来、28歳。女優を志し、富山県から上京して10年になる。「アルバトロス」という小劇団に所属しているが、メジャーな仕事はない。ずっと下積みが続いている。

 小劇団では生活費が得られないから、パートで仕事をしている。パソコン操作の電話サポートだ。ほかにも青果店などでバイトをしているものの、生活は苦しい。

 口癖は「だんない(富山弁で大丈夫)」。明るいのが取柄だった。しかし、ここにきて将来に強い不安をおぼえ始める。就職した大学時代の友人は管理職になっていた。結婚した友人はマイホーム購入を計画している。自分だけ取り残された気分だった。「そろそろ限界かなぁ」。夢をあきらめかけていた。

 その矢先、目の前に5歳の男の子が突然現れた。名前は汐川颯太(天野優)。未来を見るなり「ママー!」と、抱きついてきた。未来の息子で、10年後の2036年から来たという。

 なぜ、颯太がやって来たのかというと、「マー君」と呼んでいたパパが家を出て行ったから。理由は未来とのケンカ。颯太は2人を仲直りさせたくてタイムスリップした。ケンカした両親を和解させようとするのは子供の本能的な習性だろう。

 当初の未来は颯太が自分の息子であることを信じない。誰だってそうだろう。邪険にした。だが、未来だけを信じ、しがみ付いてくる颯太と接しているうち、愛情が湧き、息子だと信じるようになる。

 未来が自分の将来に絶望し、電話サポートの仕事で正社員になろうとしたとき、颯太からプレゼントされた紙工作が目に入る。すると気持ちが前向きになった。女優を続けることを決めた。

 颯太の行方が分からなくなると、未来は半狂乱になり、懸命に探した。颯太がお金のない自分を気遣い、時間制で割高な保育園を休んでいるのを知ると、切なくなった。

 マー君の有力候補者は3人いる。所属劇団の座長兼演出家の吉沢将生(塩野瑛久)、劇団の後輩で資産家の矢野真(兵頭功海)、颯太の通う保育園の保育士・松岡優太(小瀧望)である。

 だが、颯太がやって来た本当の理由は未来とマー君を仲直りさせるためではないだろう。挫折しかけている未来を勇気付けるために来たのではないか。

 未来役の志田には動作やセリフに不自然さが微塵もない。身長150センチと小柄ながら、存在感も際立つ。