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高市政権が掲げる経済安全保障政策に注目が集まっています。経済安全保障と成長戦略を一体で捉える危機管理投資を軸に、AI、防災、量子、核融合、そしてコンテンツ産業などさまざまな産業で日本の成長へ期待が集まります。

高市政権の経済安保は、何をめざし、企業はどこにチャンスを見いだすべきなのか。経済産業省でFTA交渉などを担当し、現在は経営戦略支援を手がけるオウルズコンサルティンググループの羽生田慶介CEOに聞きました。4回に分けてお届けします。

(取材日:2025年11月27日)

※JBpressのYouTube番組「JBpressナナメから聞く」でのインタビュー内容の一部を書き起こしたものです。詳細な前編は、JBpress公式YouTubeでご覧ください。

危機管理投資で成長、AI・防災・核融合・量子コンピュータ…

——高市政権では経済安全保障政策が大きな柱になっていると思いますが、どのように見ていますか。

羽生田慶介・オウルズコンサルティンググループCEO(以下、敬称略):総理自身がここまで経済安全保障分野に、強い思いを持っている例はこれまであまりありませんでした。その意味で、継続性を持った政策ができるだろうと見ています。

「危機管理投資」と呼ばれるように、経済安全保障を成長戦略とつなげている点が新しいと思います。例えば脱炭素と経済成長・雇用創出を両立させる経済政策「グリーン・ニューディール」も似た構図でしたが、どこか事業活動の制限やコスト負担の色合いが強かった一方、今回は産業や技術を強くする前向きな投資の面が強いだろうと見ています。

 石破政権は地方創生や防災に重点を置く傾向が強かった一方、高市政権は稼ぐ力と経済安全保障を結びつけようとしている点が新しいと思います。

——日本はどういった分野での成長が期待できますか。

羽生田:もちろんAIなど世界的に競争が激しい分野は日本も力を入れなければなりませんが、日本らしさを生かしつつ勝ち筋がある分野としては、例えば防災などもあるでしょう。

 さらに、まだ時間はかかりますが、量子コンピューターや核融合(フュージョンエナジー)など、日本が世界に先んじて競争力を得られる可能性がある領域もあります。こうした分野には期待したいですね。さらに、気づけば日本で二番目の輸出の稼ぎ頭に育ったコンテンツ産業も重要ですね。

——コンテンツというと、「クールジャパン」という言葉も思い浮かべますが…

羽生田:クールジャパンはアニメや映画などの海外展開だけではありません。今は「日本らしさを海外に伝えていく」という概念としても官民で注力しています。

 例えば清潔な衛生観念や細やかな生活技術など、日本的価値が海外で受け入れられれば、空気清浄機や抗菌加工など日本らしさに関わる製品が広がります。こうした広義のクールジャパンが進んでいます。