EUで本格的な「SNS規制法案」が提出されつつあります。
これは欧州連合のマイケル・マクグラス欧州委員(アイルランド、民主主義・司法・法の支配・消費者保護担当)が9月17日、日本経済新聞のインタビューを受けた内容が報道されたもの。
SNS規制する新法案を2026年後半に提出するとのこと。未成年の利用禁止がEUの検討課題になるとの考えも示されました。
未成年者のSNS規制については、昨年春に米国フロリダ州で14歳未満、秋にはオーストラリアでも16歳未満のSNS利用制限を求める法案が可決されました。
とりわけ豪州では、ユーチューブへの投稿の禁止を定める法案も可決されています。
フロリダ州では今年1月施行され(同法は2025年6月、連邦地裁により主要条項の執行が差し止められており、審理継続中)、オーストラリアでは12月から施行されます。
フロリダ州やオーストラリアのケースでの動機は比較的単純で、主に以下の3つが考えられます。
1.中毒性が高い
2.有害コンテンツによる深刻な影響
3.学力低下、付随的に視力、聴力低下その他、器質性の障害を与える懸念
論点がばらけないよう、あえて一言でいうと「子供がバカになる」からSNSには触れさせない、と総括できるでしょう。
「グレない」などの意味を含め、うちの子が悪影響を受けないための「転ばぬ先の杖」ということです。
これに対して欧州での法案提出動機には、これとは別にかなり複雑な背景があります。
若年有権者に対するAI制御のSNS誘導で極右政党が議席を伸ばすなど、民主主義の根幹をゆるがし、政情不安に直結する危機的状況が発生していることは日本でも一定、報道されているかと思います。
批判的判断力が未成熟な子供が、AIでターゲット目指して集票コンテンツを投げてくるSNSに晒されることで、ナチスの二の舞を演じることを、欧州の有識者は真剣に懸念している点が、豪州やフロリダ州と際立って異なる点と言えるでしょう。
さて、かつて20世紀、放送法・電波法で厳密にコントロールされたテレビ番組の制作に携わってきた私の立場からは、「未成年者の野放図な動画投稿」の問題を扱う念頭でもあります。
(一昨年の「スシロー迷惑動画事件」などが典型的です)
しかし今回は、これに先立って準備の意味も含めて、より広範な「スマホ、SNSで若者がバカになる」リスク全体を考えてみたいと思います。
