参院選の開票を受け、笑顔を見せる参政党の神谷宗幣代表=20日、東京都新宿区(写真:共同通信社)
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(西田 亮介:日本大学危機管理学部教授、社会学者)

参院選が終わり、政局へ

 2025年7月20日に参議院議員通常選挙が行われた。

◎NHK「参議院選挙2025特設サイト

 結果は既知のとおり、自公大敗(それぞれ62→39、公明14→8)。連立過半数を割り込み(自公で122)、国民民主党と参政党が躍進(それぞれ4→17、1→14)、立民、維新、れいわがほぼ横ばい(22→22、6→7、2→3)、日本保守党やチームみらいが新たに議席を獲得した(2、1)。

 N党と再生、誠真などは議席を獲得できなかった。

 衆院は自公が過半数を割る少数与党状態。類例の少ない予算の修正が行われるなど、重要法案の審議に難しい舵取りが求められた。

 日本の参議院は政権の安定運営の要であり、過去の政権交代でも先行する参議院選挙における敗北がトリガーとなっていることもあって、今回の参院選は「事実上の政権選択選挙」と目されていた。そうした事情もあって「自公で改選過半数」という、見方によっては低い目標が掲げられることになった。

 ところが選挙戦中盤から自公にとっての情勢は日増しに悪化。非改選も含めた過半数維持の可否が焦点となった。

 結果として、自公大敗。開票と同時に、過半数維持が難しいことが伝えられた。

 公明党も含めて多くの有力与党議員が落選している。特に先の衆院選も含めて、将来を担うと目された若手、中堅議員が数多く落選した公明党の傷は深い。選挙区の現職議員が落選しているだけになおさらだ。

 石破総理は即座に続投を表明するも、23日には総理経験者らと異例の会談。その前後から、責任論と「8月末退陣不可避」言説が飛び交い、石破総理本人は否定するが、急速に政局の雰囲気が色濃くなっている。

記者団の取材に応じる石破首相=24日夜、首相官邸(写真:共同通信社)

 並行して、日本経済とその先行きに深刻な影を落としてきた日米関税交渉が、トランプ大統領の「15%で妥結」ツイートで唐突に幕をおろした。

 カナダやメキシコといったアメリカと自由貿易協定を結ぶ国々よりも低い水準で、不透明な部分は残るが、一定評価することができるはずだ。

 自公国、自公維、自公立と多様な三党合意を駆使してなんとか乗り切った通常国会のような手法はそう何度も使えないのではないか。ガソリン減税の期限などを巡って野党各党のメンツを丸潰しにしてきたからだ。

 いよいよ本格的な政局にも思える。