回転寿司店での事件が記憶に新しい「バカッター行為」、2025年になぜ再び頻発しているのか?(写真:rei125/イメージマート)
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 公共の場、飲食店や電車内などで馬鹿げたイタズラや悪ふざけをして、それをSNSに動画投稿する行為「バカッター行為」と呼ばれる不適切行為が再び散見されるようになっています。「バカッター」というネーミングがされたのも、Xがかつてツイッターだったころのこと。そんな過ぎ去ったはずの流行が、なぜ、ここにきて再び続発しているのでしょうか。

(増沢 隆太:東北大学特任教授、人事・経営コンサルタント)

寿司ペロ(テロ)事件の教訓

 記憶に新しい「寿司ペロ事件」が起きたのは2023年1月でした。回転寿司店で、テーブルに置いてある醤油さしをなめる姿を動画にしてSNSにアップした犯人が大炎上した事件。「回転寿司迷惑動画事件」などとも呼ばれ、大きな話題になりました。

 犯人の少年は通っていた高校も中退。器物損壊の容疑で立件されたことに加え、民事でも寿司店側から6700万円の損害賠償請求訴訟が起こされました(その後、和解)。

 お店や利用客から見ればまさにテロ行為ともいえる悪辣なイタズラであり、多額の損害賠償を求められるほどの事案です。愚かなだけでなく、社会からも注目され、大きな代償を背負うことになりました。

迷惑行為の発生を受けた大手回転ずし各社の対策(図表:共同通信社)

 このようなバカッター行為は、必ずその度を越した犯罪的な行為がネット上で拡散されて犯人探しがされるほか、実家や勤め先、通っている学校や家族の個人情報が特定され、正体がバラされることになります。

 単に愚かすぎるだけの行為が、ここまで大きな代償になるということもありうるだけでなく、家族や周囲にまで影響を及ぼしてしまうのが特徴です。以前の生活には戻れないくらいの責めを負うことになり、それはそれでさすがにやりすぎではないかという声も聞かれることがありますが、多くは自業自得ということで納得されているのが実情でしょう。

 では、一罰百戒となるようなこうした事件報道やその後の厳しい社会的懲罰が教訓となり、事態は収まったでしょうか?