スパイに対抗するため密告に報奨金
中国では毎年4月15日を「国家安全保障教育の日」と定めている。それに合わせて、中国の情報機関「国家安全部」がメッセージアプリのWeChat(ウィーチャット、微信)で、「イノベーションの進化で、国家安全保障を研ぎ澄ます」と題する30分の動画を公開した。
スペインに本部を置く人権保護団体「セーフ・ガード・ディフェンダーズ」の調査報道(2024年4月23日付)でわかったものだが、同団体によれば、動画の中には中国のテレビで自白した「重大犯罪者」の外国人スパイも含まれているという。
「反スパイ法」が制定されたのは2014年。中国は「敵対的な外国勢力」から深刻かつ絶え間ない脅威にさらされていると主張して、長期にわたって国内で警戒を強めてきた。それが2023年7月、「反スパイ法」が改正・強化されて、「スパイ」の定義として、国家機密および機密情報にとどまらず、「国家安全保障上の利益に関わるあらゆる文書、データ、資料、物品」にまで拡大された。だが、明確な定義は示されていない。中国の重要情報インフラを標的としたサイバー攻撃も、スパイ活動に分類された。また、密告を奨励し、最大10万元(1万5000ドル)の報奨金が支給されるとした。
今回判明した国家安全部の動画では、過去10年間に中国で起きた「大規模スパイ事件」が10件取り上げられ、内訳は、カナダ人4人、アメリカ人2人、台湾人1人、ベリーズ人1人など、外国人や外国籍の中国人、および台湾人による4つの事件と、中国人による6つの事件が含まれている。外国人と外国籍の中国人、台湾人が逮捕された4つの事件は、次のようなものだ。