(古森 義久:産経新聞ワシントン駐在客員特派員、麗澤大学特別教授)
岸田新内閣の林芳正外相が就任と同時に日中友好議員連盟の会長を辞任した。なぜ辞任なのか。その背後には、この組織が長年、対日政策推進機関として中国政府に活用されてきた経緯がある。米国でも、中国が対外政治工作の一環として日中友好議員連盟を使うことへの警戒がこれまで表明されてきた。
岸田文雄首相によって新内閣の外務大臣に任命された林芳正衆議院議員は11月11日、日中友好議員連盟の会長職から辞任する意向を表明した。理由は「無用の誤解を避けるため」としている。林氏は父親の林義郎議員の跡を継ぐ形で同議員連盟に関わり、事務局などを担当した後、2017年に会長に就任した。
今回の林氏の会長辞任は、この議員連盟の中国共産党政権との特殊な絆と関連があるようだ。つまり、その「絆」に影響されずに日本国の外相を務める、という姿勢が会長辞任に至ったとみられる。
中国の「議員」とは
日中友好議員連盟は超党派の国会議員で構成されるが、日米議員連盟、日英議員連盟、日韓議員連盟などと異なり、とくに友好を強調するためか、あえて公式名称に「友好」という言葉を掲げている。