2月16日に発表された2009年1月のロシアの鉱工業生産指数は、前年同月比マイナス16%と記録的な減少となった。 世界的な経済危機の中で、ロシア製造業もその荒波の渦中にあることが再認識されることとなったのだが、ロシア製造業はこのまま奈落の底に沈んでしまうのであろうか?
時計の針を10年前に戻すと、実は当時のロシアは今と同じような状況にあった。 しかし、1998年8月のロシア金融危機後のロシア経済を最初に回復基調へと導いたのは、食品加工、衣料等いわゆる軽工業の輸入代替の動きであった(鉱工業生産 98年 ▲5.2%→ 99年 +11.0%)。
今回もロシア政府は再び輸入代替を呼び起こし、内需拡大につなげたいとの思惑が見て取れる。
その前準備として昨年11月からルーブルを段階的に切り下げ、足許、昨年夏の資源エネルギー価格高騰に支えられた最高値から約50%の切り下げを行った。
そして、今回は輸入代替を製造業の中でも最も裾野の広い「自動車組立」で実現しようとしている。
まず第1弾として、ロシア政府は今年初めから中古自動車への関税を最高80%まで引き上げた。
この結果、極東の中古車貿易の拠点であるウラジオストクの輸入台数は1日900台から50台(1月26日モスクワタイムズ)に急減しているという。極東においては中古自動車関連のビジネスが一大産業であり、同地で大規模な反政府デモが起きたことは記憶に新しい。
第2弾は自動車購入時のローン金利の補填である。具体的にはロシア中銀の公定歩合の3分の2相当、つまり現在の公定歩合13%であれば8.7%を政府が補填するというものである。
現状、自動車ローン金利は20~25%なので金利負担が3~4割は減ることになる。ただし、対象となる車種は35万ルーブル(約9700ドル)以下の低価格車であり、純国産メーカーであるAvtoVAZの全モデルのほか、国内組み立て外国車のフォード「フォーカス」(外国車登録台数No1)、フィアット「アルベア」、起亜「スペクトラ」、ルノー「ローガン」、スコーダ「ファビア」、フォルクスワーゲン「ジェッタ」等が対象となる。