(山根 一眞:ノンフィクション作家)
「40m、80cm、5t」という文字が焼き込まれた大蛇、オオアナコンダの写真について、『文藝春秋』1958年1月号に長谷川定雄氏(ブラジル・サンパウロ市在住・養鶏業)による「日伯・大蛇論争 四十メートルの大蛇は確かにいる」という4ページの寄稿文が掲載された。
長谷川氏はかなり詳細にこの「大蛇退治」を書いているが、その話は何とも奇想天外だ。
1時間かけて500発もの銃弾を浴びせて殲滅した「40m、80cm、5t」大蛇の写真では、頭部はきれいな状態で損傷がなく2つの眼も生きているかのように光って見えている。
長谷川氏は、この事件の顛末の冒頭で「これは極く最近のことで、日時は忘れたが」と書いているが、それも違っていることがわかった。
本連載の第5回(「ついに入手した『アマゾンの大蛇伝説』原点の写真」)に書いたが、この写真はすでに『文藝春秋』の記事が出たおよそ3年前に『世界の大宝庫アマゾン』(1954年12月20日印刷)に載っていたのだ。
では、長谷川氏はなぜ3年以上も前の事件を「極く最近」と書いたのだろう。