2日のNY市場は往って来いの動きとなった。序盤はISMなど一連の指標が発表後、ドル安が優勢となった。指標自体は予想を上回る内容だったものの、前回よりは低下し、景気回復への鈍化傾向を示したことが嫌気された。米国債利回りも下げが優勢となる中、ドル売りが先行している。ユーロドルは1.49台に一時上昇し、ドル円は81.00付近まで下落。ビンディン氏の死亡伝わっていたものの、ドル買いの反応は一時的となった。
しかし、後半になってドル売りも一服し、徐々に戻す動きとなった。特に材料はなかったが、株や商品が利益確定売りに押され、為替市場も巻き戻しの動きが出たようだ。株式などは連日で高値更新が続いており、ややオーバーシュート気味との指摘も出ている。また、ビンディン氏の死亡が、逆に新たなテロへの警戒感も強めているとの指摘も。
ユーロドルは1.4900付近を天井に、1.48台前半まで下落し、序盤の上げを失っている。ポンドや豪ドルも同様の動き。
◆ユーロ高に仏が静観姿勢 債務問題への注目集中を避けたいのか
ユーロは対ドルで一時1.49台に上昇するなど、きょうも強い動きが見られ、ドル安の風を一身に浴びている。過去にユーロが上昇すると、必ず不満を表明していたのがフランス政府だ。世界有数の輸出企業を抱え、政治的にも大きな影響力を持つため。日本と同じ構造だが、今のところは静観している模様。ラガルド仏財務相は欧州議会に出席しており、ユーロ高は一部の輸出企業にとっては影響があるが、一方で、特に原油など重要な輸入品のコストは下がると述べていた。中立的なトーンだったこともあり、現段階では政治的圧力も少なく、静観姿勢といったところかもしれない。
また、ユンケル・ユーログループ議長も、ユーロ高は懸念事項ではなく、ドル安によるものと述べていた。
もしかすると、当局としては、ユーロ安を誘発すると、欧州債務問題に市場の目が集中してしまい、それを避けたいという狙いもあるのかもしれない。
(Klugシニアアナリスト 野沢卓美)