事業好転の理由は「事業の幅が広がった」など

 先述の「良い影響がある」と感じる回答者70名に「その要因」について挙げてもらうと、44.3%が「専門性の高い分野を副業で補うことで事業の幅が広がった」と回答。次いで、「人材を適材適所に配置することができ、社員ひとりひとりの生産性が上がった」と「副業を受け入れ始めたことで、優秀人材が集まりやすくなった」が共に32.9%で上位回答となった。

 同様に「生産性向上や業績アップの要因」として考えるものについて寄せられた自由回答を紹介する(一部抜粋)。

・業務内容など、今まで気がつかなかったことを教えられた(47歳)
・新規事業に繋がった部分もあり、新規営業や継続サポート等でそれぞれのスキルが上がった(54歳)
・適材適所で、人と能力が必要な部分に投資できる(50歳)
・既に副業で個人的な事業経験があり、人材や社会的経験も豊富で会社へのさまざまなプラスがある(55歳)
・社員にない知識を持つ人材の投入により、今までできなかったことも可能になる(62歳)

副業人材受け入れの課題は「自社の機密情報漏洩のリスク」が最多

 最後に「副業人材を受け入れる上での課題」を尋ねた。その結果、「自社の機密情報漏洩のリスク」が40%と最も多く、以降、「他の会社での業務も含めて業務量を把握して仕事を割り当てるのが難しい」(34.5%)、「副業人材のための人事評価制度を確立する必要がある」(23.6%)で上位となった。

 さらに、自由回答では以下のような回答が得られた(一部抜粋)。

・就業規則の変更(46歳)
・顧客や、ノウハウを盗まれる可能性(47歳)
・副業により本業がおろそかにならないように成果主義を確立すること(58歳)
・トラブルや失敗した時の対応と、責任の取り方(58歳)
・他の仕事の影響による急な休みを承知していなければならない(67歳)

 副業人材の受け入れにより、さまざまな面で企業に好影響がもたらされる可能性があるようだ。一方で、社内のルール整備や意識醸成など、副業を受け入れる側の環境整備も必要となる。企業はそのことを踏まえつつ、事業成長のきっかけとなる専門性の高い副業人材の活用を検討してみても良いのかも知れない。

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HRプロ編集部

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