インデックス運用は本当に「市場全体に投資する」のか?

 「インデックス運用は投資先を選ばず、市場全体に投資する」というイメージは正しいのでしょうか?

 東証株価指数(TOPIX)なら、このイメージのままでしょうね。
 なぜなら、東証株価指数は東京証券取引所第一部に上場している全企業が対象だからです。
 では、日経平均株価の方は、いかがでしょうか?

 東証一部に上場している企業の数は、2020年10月末時点で2180社です。そして日経平均株価に採用されている企業の数は、東証一部のうちの225社と、全体のわずか1割強にしか過ぎません。これで「市場全体に投資する」と言えるのでしょうか?
 何だか、えらく矛盾していますね?

 ところで、日経平均株価と東証株価指数に共通した特徴があります。何でしょうか?
 まず、どちらも東証一部に上場している企業のみ、という点です。

 そして、どちらも業種に偏りがありません。業種の分散が図られているということです。

 また、言うまでもありませんが、どちらも我が国の代表的なインデックスですから、テレビや新聞、インターネットなどで情報を得ることが容易です。

 つまり、日経平均株価は「225社とはいえ東証一部から幅広い業種が選ばれ、なおかつ我が国の代表的なインデックスとしてよく知られている」という背景があるために、日経平均株価のインデックス運用は「市場全体に投資するイメージ」だとみなされるのです。

個性が輝くアクティブファンド

 アクティブ運用にせよ、インデックス運用にせよ、どちらも「多数の企業の株式をワンパッケージにした運用」という点では同じです。アクティブとインデックスの違いは、そのパッケージの中身、つまりファンドの投資対象となる株式を誰が選んでいるのか、という点です。

 ファンドの投資対象となる株式を選ぶのは、投資信託の運用会社に勤める、ファンドマネージャーと呼ばれる人です。ファンドマネージャーは株式を、どのように選ぶのでしょうか?

 インデックス運用の方は、ファンドマネージャーが選ぶも何も、東証株価指数は東証一部の上場株式の全てですし、日経平均株価は日本経済新聞社が選んだ225社です。いずれにせよ、インデックス運用の場合、ファンドの運用会社が異なったとしても、その中身に大きな差異はなさそうですね。ファンドマネージャーの個性は光らなさそうです。

 一方のアクティブファンドの中身は、ファンドマネージャーが運用会社の哲学に基づき、ファンドごとの方針に沿って投資対象の株式を選んでいます。アクティブファンドの方は、運用会社やファンドマネージャーの個性がキラリと輝きそうですね。どれだけ利益を出せるのか(または損失が出てしまうのか)、ファンドによって大きく変わってきそうです。

インデックスとアクティブの違い
  インデックス運用
(パッシブファンド)
アクティブファンド
イメージ 草食系 肉食系
訳すと 消極的 積極的
インデックスに対して 連動を目指す 上回ることを目指す
投資対象を選ぶのは? インデックスが選ぶ ファンドマネージャーが選ぶ
ファンドマネージャー 個性が光らない 個性が輝く

まとめ&次回予告

 今回は「肉食系」アクティブファンドと、「草食系」インデックス運用の違いについてお話ししました。
 肉食系のアクティブファンドは、ベンチマークを上回ることを目指す積極派です。対して、インデックス運用の方はベンチマークに連動した成果を目標とする消極派といえそうです。

 ファンドの中身を比べると、インデックス運用の方は投資対象の株式が最初から決まっているので、ファンドマネージャーの個性は光らなさそうですね。また、アクティブファンドは運用会社の哲学とファンドの方針に基づいて、どの株式に投資するかをファンドマネージャーが選びます。したがって、アクティブファンドにはそれぞれの個性があります。

 そして、アクティブファンドについては、ファイナンシャルプランナーの教科書に「恒常的に市場平均以上の運用成績を行うのは困難」と書かれていたのも気になります。

 さて、肉食系と草食系、この二者択一なら、読者は、どちらを選びますか?

 筆者なら、「お野菜を用いたフェイクミート!」と答えます。
 お野菜を用いたフェイクミートって、何でしょうね? 答えは次回にて。