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(藤谷 昌敏:日本戦略研究フォーラム政策提言委員・元公安調査庁金沢公安調査事務所長)

 全世界が新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の惨禍に見舞われる中、中国は次々と宇宙に覇権を拡大している。中国メディアは、11月6日、中国で第6世代移動通信システム「6G」の実験衛星の打ち上げに成功したと報じた。

「6G」の実験衛星を載せたロケットは6日午前、山西省の太原衛星発射センターから打ち上げられた。「6G」の実験衛星の発射は「世界初」で、今回の実験ではデータ通信に使われる電磁波「テラ・ヘルツ波」の宇宙空間での通信技術の検証を行う。中国は既に「5G」の技術でも世界的に先行しているが、「6G」についても2030年ごろの実用化を目指しており、情報通信分野では米国を凌駕しつつある。

 そもそも中国が宇宙開発に参加したのは、1955年、毛沢東の掛け声で「両弾一星(りょうだんいっせい)」という計画が始まったからだ。この計画は、中華人民共和国の核技術および宇宙技術の同時開発プロジェクトで、「両弾」は原子爆弾と大陸間弾道ミサイル (ICBM)を、「一星」は人工衛星を意味する。