債券──リスクが高い仕組債から、低リスクな個人向け国債まで

 「債券」とは、国、地方公共団体、会社などが投資家からお金を借りるために発行する「有価証券」のことです。国が発行するものを国債、企業が発行するものが社債となります。また、外国債のように、外国の企業などが外貨建てで発行するものもあります。

個人向け国債ホームページ財務省の個人向け国債の紹介ページ。「元本割れなし」をうたう低リスクな運用商品

 債券が定期預金と違うのは、債券を持っている(=国や会社などにお金を貸して、その利息を受け取る)期間中でも売買ができることです。ただし、売る時期によっては、買ったときより値が下がり、損をするリスクもあります。
 そして、債券ごとに「利回り」は大きく異なります。

 ところで、昨今の新型コロナウイルスの影響で企業利益も減少が続く一方で、証券会社などが企業に対して、自己資本比率の安定と資金繰りのために社債の発行を勧めているようです。
 少し難しい話になってしまいますが、社債の中には「仕組債」と言われる、字のごとく一般的な債券にない特別な「仕組み」をもつ債券もあります。例えば株価、金利、為替などに連動する仕組みにより、通常の債券より利率を高く設定できます。直近では、1年で約7%もの利回りの企業債も出てきているようです。
 ただ、仕組債は、市場の変動によっては受け取り時に損をするリスクがあります。比較的リスクが高い、利回り重視の運用商品といえるのですが、最近では新型コロナの影響か、損をしてしまっている人も多いようです。

 また、債券を発行する企業などには「格付け」が決められていて、格付けによって債券の金利が高いか低いか決められます。企業経営は順調か、倒産しないかといったリスクを見極めたうえでの購入となるので、社債や仕組債への投資は、経験者向けということになりますね。あるいは、③投資信託を通じて間接的に投資するという方法もあります。

 そんな難しそうな運用商品がランキング下位?と思われるかもしれませんが、私が債券をランキングの最下位(最も利回りが低い)としたのは、国が発行する「個人向け国債」を対象としているからです。
 個人向け国債とは、日本国が発行する、リスクが低めの債券です。個人向け国債には固定3年、固定5年、変動10年の3種類があり、現在の適用金利は0.05%。固定3年では受け取れる利子が1,500円、1年では500円の利子となります。注目すべき点として、満期前でも1年経過すれば売却・換金ができ、解約しても元本割れはしません。

 個人向け国債は全国の銀行などで販売しています。国が破綻すれば紙くずですが、日本が破綻することはよほど考えられないでしょう。利回りは高くありませんが、リスクも低めなのが安心材料ですね。

外貨預金──金利より重要な為替差益

 次は「外貨預金」。外貨預金とは、円を外国の通貨に交換して預金することをいいます。国内銀行の定期預金は先ほど書いたように金利0.002%程度ですが、外貨預金の多くは、国内の超低金利に影響されず、円預金より高い金利が期待できます。

預金通帳超低金利の世の中で、外貨預金なら国内銀行の定期預金よりいくらか高い金利が期待できる

 たとえば、代表的な米ドルでは0.15%(100万円預金すると1500円の利子)、豪ドルで0.05%(同500円)と、円預金より高めの金利がつきます。だったら儲かる?と思われがちですが、そこが簡単に上手くいかないのも外貨預金の特徴です。
 外貨預金は通貨の換金(円を外貨に換えるときと、外貨を円に戻すとき)に手数料がかかります。海外旅行へ行くとき、銀行で他国のお金を用意するのに手数料がかかるのと同じ理屈です。そして円預金と同じく、利息の20%は税金でもっていかれます。

 さらに忘れてはならないのが、為替レートの変動で、外貨預金の利回りも大きく変わってしまうことです。外貨預金をしている最中に為替レートが変動して、ドル安からドル高になれば「為替差益」を得られます。逆に、ドル高からドル安になると「為替差損」が発生して、元本割れとなり、利回りがマイナスになることもありえます。

 外貨預金で、手数料と税金を払ってもなお儲けを出そうとすれば、利子と為替差益だけで最低でも約2%、できれば3%以上の利回りが必要でしょう。外貨預金は金利よりも、為替変動による儲けや損が大きいものです。円高のときに米ドルなどの外貨に換えて、3円以上の円安時に円に戻すと利益が出る。これが外貨預金の鉄則だと覚えておいてください。
 また、金融機関によっては円を外貨に替える際の為替手数料を無料にしているケースもありますので、確認してくださいね。

 繰り返しになりますが、外貨預金は為替差益が全てです。為替変動は、世界経済の動きと関連しています。1年で儲けを得ようと思わずに、世界経済の動向を見極めながら、長い目で見て預けてください。

 次回は、ランキングの順番に沿って、③投資信託、④不動産投資について考えていきます。