北半球のあらゆる大学では、インターネットを利用することで教育、研究活動がこれまで以上に活発になっている。ここ20年の間に、科学技術の世界ではインターネットが情報伝達手段の中心的役割を演ずるようになっている。

インターネット抜きに考えられない大学での授業

 科学の世界での研究協力は、ほとんどが電子メールを通じて生まれるようになった。研究成果やデータはインターネットを通じて共有されている。また、遠く離れたコンピューター同士がインターネットを通じて情報をやり取りしながら協調して演算を行うケースも出てきている。

 学生たちは大学の講義プログラムだけでなく、大学にはどんな研究グループがあるのか、またコンファレンスなどに関する情報をウエブページから得るようになっている。

 現代科学によって生み出された大部分の知識はまた、オンライン上で見つけることができる。研究結果は今や研究雑誌に保管されている。その研究雑誌はもちろん紙媒体のものもあるが、インターネットを通じて電子ファイルのものが主に利用される。これらにアクセスできなければ、学生は現代の研究の大部分を見ることができない。

 インターネットの利用は、予算に限りのある新興国の大学ではもっと重要な意味を持つ。インターネット以外の方法で、研究結果などの知識コンテンツを手に入れたり、教科書を使ったりすれば、コストが大きく膨らんでしまうからだ。

 科学の進歩は大変速く、科学技術(法律や経営、政治でもいい)の最新の研究成果まで反映した紙の教科書を買うには多額の費用がかかる。これに対して、インターネットは最新の情報の保管場所として使用できる。

 ここ数年で、あらゆる種類の情報をインターネット上に保存して、利用者が自由に閲覧できるようにする動きが活発になっている。いくつかのプロジェクトでは、新しい教科書でも古い資料でも本をまるごとスキャンして保存している。その実例としては、例えばグーテンベルク計画やウィキブックスがある。

 米マサチューセッツ工科大学(MIT)をはじめとして、多くの大学で講義をまるごとオンライン上に保管。ビデオ講義やノートのファイル、課題、教材のすべてに閲覧者が自由にアクセスできるようになり始めた。