今と将来のライフイベントに伴うお金も想定してみましょう
さて、もし、まとまった現金を一括投資、すなわち投資元本の全額を同時に投資へ充てるのでしたら、筆者は慎重な判断が必要になると思います。
筆者の言う「慎重な判断」とは、投資先への判断ではありません。
投資先を選ぶ以前に、ご自身のご家族様の今と将来についてです。
今後、どのようなライフイベントが控えているのでしょうか?
ポジティブとネガティブ(=特に不測の事態)、それぞれのイベントを想定できると思います。そして、想定したライフイベントは家計でカバーすることができるのでしょうか?
もし家計でカバーすることが難しい場合、投資元本とは別の余剰資金があるでしょうか?
投資元本とは別の余剰資金がないということでしたら、投資元本に充てる予算を見直した方が良いですよね。
一方、積立投資の場合、投資の予算として準備した現金(=先述の例では2,000万円)の全額がすぐに投資元本にまわるわけではなく、大半が預金のまま寝かせる状態が続くのは、先述の通りです。
ということは、積立投資のために寝かせている資金を、家計では補い切れないライフイベントの予算に充てることも可能だと言えます。別の言い方をすると、投資元本に充てる資金とは別に余剰資金を準備することは不要ということです。
また、積立投資は、途中で積み立て額を増やしたり、減らしたりすることもできます。
投資元本として準備していた現金をライフイベントの予算に充ててしまうと、当然、投資元本に充てる額が減ってしまいます。逆に、もし家計に余裕ができれば、新たな投資元本に充てて、積み立て額を増やすこともできます。
このように、積立投資の場合は投資元本に充てる現金のコントロールが可能となりますが、同時にコントロールするスキル(?)も必要になります。
一括投資と積立投資、いずれも投資は長期なのですから
筆者の場合、一括投資というと、どうしても「リスクを抑えた」投資になってしまいます。例えば、バランス(資産複合)型の投資信託をメインに据えたポートフォリオです(バランス型の投資信託がどのようにリスクを抑えた投資なのかは、別の稿でお話しします)。
一方で、積立投資の場合ですと、筆者の場合、思いっきりリスクを取ります! 将来の成長に期待することができる新興国株式ファンドを中心に据えたり。
なぜ、積立投資では思いっきりリスクを取ったポートフォリオになるのか、それは第17回をご覧ください。積立投資の目的は「損益分岐点の引き下げ」だからです。
ただ、いずれにせよ「投資は長期で」というスタンスは、一括投資でも積立投資でも変わりありません。が、一括投資の方が、リスクを抑えたポートフォリオの分、(積み立て投資にくらべ)期間の短い投資になろうかと思われます。
まとめに代えて
一括投資と積立投資。「まとまった現金」があればこそ、迷う選択肢と言えるでしょう。どちらがふさわしいかは、ご自身と家族の今と将来のライフイベント、そして家計や、他の余剰資金にもよると思います。が、「いずれか一方だけ」にこだわる必要もなく、一括投資と積立投資を併走するという考え方もありですよね。