(藤谷 昌敏:JFSS政策提言委員・元公安調査庁金沢公安調査事務所長)
国産リニアモーターカーの実験に成功
中国メディアは、「6月26日、上海市内の同済大学において、中国国産のリニアモーターカーが時速600キロのテスト走行に成功した。また、四川省の西南交通大学では、真空チューブの中を走行する時速1000キロの高速リニアモーターカーの開発に取り組んでいる。この高速リニアモーターカーは、真空内を走行することで、レールシステムの摩擦がなく、空気抵抗も少ないことから、航空機並みのスピードが出る。この技術は2030年にも実用化される見通しで、北京と広州間2300kmを2時間半程度で走行する」と報じた。
中国では、1970年代以降、「科学技術の現代化」を改革開放の目標である「四つの現代化」(工業、農業、国防、科学技術)の一つに位置づけている。
2006年2月に国務院は、「国家中長期科学技術発展計画要綱(2006~2020年)」を発表し、その中で、バイオ技術など先端技術8分野を重点的に支援することを決定した。また、2012年11月の中国共産党第18回全国代表大会において、「科学技術におけるイノベーションは社会的生産力と総合国力を高める戦略的な支え」と位置づけられ、その趣旨は現在の習近平政権に引き継がれた。そして、2015年5月には、「中国製造2025」計画において、次世代情報技術、ロボット、有人宇宙飛行など9項目が重点分野と決定された。さらに2016年には、「第13次5ヵ年計画国家科学技術イノベーション計画(2016年~2020年)」が発表され、リニアモーターカーの開発が国家重点研究開発計画「最先端鉄道交通」の重点特定プロジェクトとして定められた。