(舛添 要一:国際政治学者)
全国で新型コロナウイルスの感染者が急増している。そのような中で、志村けんさんが3月29日深夜に新型肺炎で亡くなり、日本中に大きな衝撃が走った。
それまでマスクも装着せずに人混みの繁華街で遊んでいた若者も、少しは警戒心を高めることになったのではないか。
問題なのは感染経路不明の感染者数
日本医師会など、政府が緊急事態宣言を早く出すように要請する声も高まっている。政府が、東京を緊急事態の対象地域にすれば、都知事は法律を背景にして首都封鎖、いわゆるロックダウンも可能になる。
しかし、その前に準備し、実行すべきことがある。それは、感染状態の実態をしっかりと把握することである。とにかく現状を正確に示すデータが圧倒的に不足している。それはPCR検査が不十分だからであり、実際には感染者がどのくらいいるか分からない。また、欧米のような抗体検査をまだ開始していないので、知らないうちに感染し、治癒して免疫ができている者の数は全く掴めていない。
都が発表した感染者数は、41人(3月25日)、47人(26日)、40人(27日)、63人(28日)、68人(29日)、13人(30日)、78人(31日)、66人(4月1日)、97人(4月2日)となっている。この感染者総数のみが、一人歩きし、国民に不安感を煽る結果となっている。私は、総数と同時に、年齢、性別、重症か軽症かなど属性の発表を同時に行うように求めているが、まだ総数のみが先走って公表されている。
さらに言えば、30日に13人と数が少ないのは、週末(28、29日)に検査依頼が少なかったからということである。つまり、検査数が増えれば増加、減れば減少というのが、この感染者数なのである。検査数を増やせば、もっと増えるのは当然であり、正確な数字を掴めないのは、検査怠慢のツケなのである。