「リーダーとしての在り方・姿勢・役割意識」が課題のトップで7割

「リーダーシップ研修の受講者に対して抱える課題」については、「リーダーとしての在り方・姿勢・役割意識」が73%で最多であり、次いで「部下育成力」が61%、「人間関係構築力/コミュニケーション」が46%などとなっている(図表4-1)。前回調査より「人間関係構築力/コミュニケーション」が1つ順位を上げ、前回比(今回調査―前回調査、『ポイント』)8ポイント増となっており、リーダー職のコミュニケーション力不足を懸念していることがうかがえる。

 具体的な課題として、「時代の変化に合わせた部下への指導方法」「リーダーとしての意識改革」等に関わる意見が多く見られる(図表4-2)。これらから、社会における価値観の多様化に伴い変化する部下社員の特性を考慮し、組織のリーダーとして、部下の育成や組織作りの役割を担うことへの「意識改革」及び「行動変容」までが求められていることがうかがえる。

【図表4-1】「リーダーシップ研修」の受講者に対して抱える課題HRプロ

 

【図表4-2】「リーダーシップ研修」の受講者に対して抱える具体的な課題

コメント 従業員規模 業種
部下の指導ができない 1001名以上 メーカー
新しい世代を受け入れていく中、旧態依然とした指導法では人材が育たない。個々の力を組織としてより発揮させることを意識させる必要がある 1001名以上 商社・流通
時代の変化に合わせた若年層に対しての指導ができない人が多い 1001名以上 商社・流通
意識改革 301~1000名 サービス
プレイヤーからマネージャーに求められること、また他部門との連携等、経営感覚を持ってもらうことを認識してほしい 301~1000名 メーカー
部下育成力 301~1000名 メーカー
プレイヤーとしての能力面だけでリーダーとなることが多く、マネジメントスキルとしては低い 300名以下 メーカー
リーダーとしての自覚 300名以下 メーカー
まだ組織を纏めるチカラが弱いと感じる 300名以下 情報・通信
目標達成のため、チーム一丸となって取り組むマインドとスキルの向上 300名以下 情報・通信

 

リーダーシップ研修の内容は、「リーダーとしての在り方・姿勢・役割意識」がトップで8割

 実際に実施しているリーダーシップ研修の内容については、「リーダーとしての在り方・姿勢・役割意識」が81%で最多であり、次いで「部下育成」が55%、「人間関係構築/コミュニケーション」が50%などとなっている(図表5-1)。この傾向は前述した「受講者に対して抱える課題」と同様であり、課題を踏まえた研修内容が設定されていることが分かる。

【図表5-1】リーダーシップ研修の内容HRプロ
 

「ハラスメント研修」の実施企業は「やや増」、ただし中小企業は4割にとどまる

 続いて、「ハラスメント研修」について、改めて実施の有無について質問したところ、「実施している」が55%、「実施していない」が45%となっており、この傾向は前回調査より「実施している」企業の割合がやや高くなり、半数を超えている(図表6-1)。また前回比では7ポイント増となっている。

 また、従業員規模別にみると、大企業及び中堅企業では、ともに「実施している」企業の割合が71%と7割を超えている。一方、中小企業では「実施している」企業の割合は40%にとどまり、中小企業においては未だハラスメント対策に対する意識が高くない状況にあることがうかがえる。

【図表6-1】従業員規模別 「ハラスメント研修」実施の有無​HRプロ

 

「ハラスメント研修」は「コンプライアンス」として必要、離職者増加にも危機感

 実施している企業において、「ハラスメント研修の実施の背景にある課題」として挙がっている項目は、「コンプライアンスとして」が60%で最多であり、次いで「管理職の認識不足」が47%、「社会的な関心の増加」が45%などとなっている。この傾向は前回調査と顕著な変化は無いものの、「ハラスメント由来の離職者の増加」については前回比9ポイント増となっている。ハラスメントは「人材確保に対する悪影響因子」として危機感を持つことが、ハラスメント研修の実施に向けた強い動機となり、実施企業の増加に繋がっていることも考えられる(図表7-1)。

 より具体的な課題としては、「古い企業体質」と「当事者意識の不足」に関する内容が多くみられる(図表7-2)。ハラスメントの根絶に向けては社員一人ひとりの意識改革が必要であるが、歴史のある企業においては、長い年月をかけて築き上げられた社風や企業体質という根深い部分を変えていく必要があるため、根気強く積極的な働きかけが求められる。

【図表7-1】ハラスメント研修の実施の背景にある課題​HRプロ

 

【図表7-2】ハラスメント研修の実施の背景にある、具体的な課題(一部抜粋)

コメント 従業員規模 業種
古い体質の企業、属している業界の特性もあり、ハラスメントに対する認識が著しく低い 1001名以上 メーカー
ハラスメントについては、現状かなり浸透してきているので、会社としてのコンプライアンスの一環として最近の社会での傾向等を中心に実施 1001名以上 メーカー
コンプライアンス研修とあわせてハラスメント研修も実施している 1001名以上 情報・通信
実際に起こっても実践できていない 1001名以上 金融
社会的にハラスメントに対する視線が厳しくなっているので 301~1000名 サービス
パワハラが疑われるような指導による離職者がいる。昔ながらの認識でハラスメントの適切な認識の不足と社会的な関心の増加への対応 301~1000名 メーカー
相互理解の不足からくるミスコミュニケーション 301~1000名 情報・通信
管理職の認識不足のため、たびたび部下からハラスメント事案がくる(管理職は全く自覚していない) 300名以下 メーカー
当事者意識が希薄 300名以下 メーカー
とにかく社員の意識が低い 300名以下

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