「株式貯蓄」のすすめ―ほんとうの株式投資― 第4回

 前回、初心者向け投資対象として「安定成長企業」を紹介しました。では、具体的にどのように投資企業を選定したらいいでしょうか。今回は、安定成長企業の見つけ方を説明します。

成長性のある企業への投資:2つのポイント

福沢 隆雄福沢 隆雄
若葉マークの株式投資 代表
儲けの仕組みのある会社

 儲けの仕組み(ビジネスモデル)のある会社とは、独自の商品やサービスがある企業のことをいいます。独自の商品・独自のサービスのある企業は強いです。まねがしづらく独自の業務を行っていれば、他社との競争に負けることがなく、価格も独自に設定できます。企業を見る目を養いましょう。

商品・サービスを必要とする市場があること

 いくら良い商品・サービスでも、それを必要とする市場がなければ、業績は拡大しません。投資企業が事業を展開するための市場があるか、検討してみましょう。需要が見込める良い市場・ニーズがあることが必要です。
 日本では人口が減少していますが、世界的にみればインドなどの人口増加もあり、世界の人口は増大しています。日本での事業拡大に限界があっても、世界を相手にしていければ業績は拡大していきます。

成長性のある企業への投資

銘柄選びで注意したい3つの観点

 株式投資銘柄は、「生活の中、仕事を通じて」などから様々に選定されていくと思いますが、初心者は特に次の3点に留意ください。

①自分の好きな会社・応援したい会社への対応

 単に「好き・応援したい」だけで選定することは避けましょう。投資対象として企業の検討(会社の概要、収益等の状況)を行い、評価が適切にできない場合は投資対象候補から外しましょう。企業のサポーターになるには、投資家として参加するほか、その企業の商品を購入する・サービスを活用する方法もあります。

自分の好きな会社・応援したい会社
②自分が理解できる会社に投資をする

 自分が投資しようとする企業や業種について、知識がない分野は避けましょう。自分が知らない分野での業界固有の特色があるかもしれません。 例えば、製薬会社の場合、医薬品の特許期間(20年)、新薬開発に巨額な費用と年月を要することなどが課題です。自分が理解できる企業・業種に投資をしましょう。

③多様な業務を行っている会社は避ける

 比較的多くの会社は、その利益の源泉が1つか2つです。あまりたくさんの業務を行っている企業への投資は注意が必要です。例えば、ある電気機器会社では「ゲーム、音楽、映画、半導体、金融など」多岐にわたる業務を行っています。こうした企業において、例えば特定の業務が注目されることがよくありますが、投資判断では全体の業務や収益性の検討が必要になりますので、初心者は注意ください。

企業業績からみる安定成長企業の見方

 会社四季報などをみると、企業業績欄に企業の売上高や利益が時系列で掲載されています。「安定成長企業の見方」を企業業績欄で確認してみましょう。「安定性」はこの「業績欄」がすべて黒字であることが要件です。次に「1株利益」の推移をみてください。これが年々増加していれば「収益性・成長性」を満たしています。

企業業績:安定成長企業の例
企業業績:安定成長企業でない例

 上記の場合、企業収益が黒字と赤字(▲印)繰り返しています。この場合、企業の評価方法がむずかしく、株価が大きく変動します。初心者は投資を避けましょう。

 次回は、一般的によくみられる「失敗の取引例」をパターン別に説明したいと思います。

第5回 株式投資の失敗パターンを知ろう
第3回 初心者は「安定成長企業」を選ぼう